忍者ブログ

ラフレシ庵+ダブルメガネ


アナコン6新刊「ナニがどうしてこうなった!?」サンプル

2017/06/18(Sun)19:52

7月2日に開催されるアナザーコントロール6の新刊サンプルです。ラブコメディ。

 

主人公(月森孝介)は性器が大きすぎて誰にも挿入できないことで自信を失っていた。練習相手になることを承知した陽介だが、触れられるたびに自分のドロドロした感情に気付いていく。
ストーリーネタバレ、月森や周囲が肉体関係を結ぶことに対して緩いのでご注意下さい。

A5/40p/400円/R18

とらのあなで委託通販を取り扱っていただいてます。→

本文サンプルは↓の続きからどうぞ。
R18部分を除いたサンプルになります。






俺は今、目の前にいる月森のオナニーを見ている。
…いや、自分でも何を言っているのかわからない。
でも、確かに今、俺の親友で相棒である月森孝介のオナニーを見ているんだ。
ソファに腰かけた月森に「見ていてくれ」と言われ、手でご立派様を擦ってしごき上げている姿を見せつけられているんだ……。

一体、ナニがどうしてこうなった?






きっかけは今日の昼休みだった。
月森に誘われて、涼しさをようやく感じるようになってきた秋の空の下、屋上で特製のしょうが焼き弁当を食べていた時のことだった。
「はーごちそうさん!さっすが相棒、最高に美味かったぜ!」
「陽介は美味しそうに食べてくれるから作り甲斐があるよ」
月森は弁当箱を片付けながら微笑んだが、すぐに真剣な表情になった。
「ん…どうした?」
 事件の犯人は久保美津雄ではないことが直斗の命がけの行為によって証明された。振り出しに戻った感じではあるけど、探偵という心強い味方ができたし、俺たち仲間の絆は今まで以上に深まっている。今は直斗の回復を待ちながら事件の情報整理をしているし、やれることはやっているはずだ。
「陽介に………お願いがあるんだ」
いつもは俺を真っ直ぐに射ぬく強い眼差しが、今日はなぜかどんよりと翳っている。
「んだよ、なにかあったのかよ?」
月森は答えなかった。よっぽど何か困ったことが起きたんだろうか。
「…陽介にだけは、本当は頼みたくなかったんだ………」
「なんだよ、それ。水くさい」
月森の肩を軽く叩くと、こちらを見た。ひと筋の光を求め、すがるような眼差しを向けてきた。
「色々………試してみたけど駄目なんだ………」
月森の方を向き直る。
一体なにがあったんだろう。ただ事じゃなさそうだ。
金銭トラブル?まさかなにか詐欺に遭ったとか?…いや、そういうのだったらまず堂島さんに相談するよな。
もしかして女絡みとか?それならありそうだ。特捜隊の女子たちはもちろんのこと、他にも部活関係とかバイトとか、色んな交流があるみたいだし、もしかしたらその中の誰かと付き合ってるのかもしれない。こいつって優しいし、真剣に話を聞いてくれるからモテるに違いない。
仲間内でのトラブルだったらなおさら参謀である俺の出番だしな。なにより困っている月森の助けにならなくて、なにが「相棒」だ。小西先輩が亡くなって、俺が一番しんどい時期を乗り越えられたのは月森が居てくれたからだ。こいつが傍にいて見守ってくれていたから、自分の気持ちとちゃんと向き合って、前に進もうと決意できたんだ。月森の助けになれるんだったら俺はきっと何だってできるだろう。
「何かわかんねーけど、困っているんだろ?俺にできることだったら何でもするぜ?」
金のこと以外ならな。そう付け加えてウインクすると、いきなり手を掴まれた。
「本当に良いのか、陽介…?まだ話も聞いてないのにそんな安請け合いして」
「お、おう………?」
どんな内容なのかちょっと怖くて、ついどもってしまう。だけど、月森の力になりたい気持ちに偽りはないんだ。
「有り難う!」
ハグされて、思わず「うおっ」と声が飛び出た。いきなりは心臓に悪すぎなんだよ。っていうか、そこまで追いつめられてるのか、こいつ。
「とにかく俺に任せとけ」
胸を張って見栄をきると、月森が心底ほっとしたように息を吐いた。
相棒に頼られて誇らしい気持ちでいっぱいだった。そう、その時の俺は。

そこまでだったらいい話だったのだ。本当に。

「とりあえず、放課後うちに来てくれるか?長い話になるし、実際に見てもらえばわかってもらえると思うから」
そう尋ねられて、「いいぜ!」と軽く応じた。

午後の授業が終わり、俺たちは堂島さん家にある月森の部屋へ移動したのだった。
「とりあえず、これを見てほしい」


………以上、回想、終わり。そして今に至る。
何か端折ったわけじゃない。本当にこれだけなんだ。
まったくもって意味がわからない。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


何度も胸を上下させ、ようやく射精し終わった月森は受け止めた白濁をティッシュにくるみ、疲れたのかソファに背中を沈めた。
そうして視線を俺に向けてきた。
「…………わかってくれたか?」


「………………………………………あ、悪い、ちょっと放心してたわ。………あのさ、お前、言葉が足りてねえからな!絶対的に!」
「相棒だろ、察してくれ」
「いやいや、相棒だからって俺にも限界はあるっての!いきなり相棒のオナニーを見せられて、よっしゃわかった!ってなるかよ?なあ!おい」
月森の胸元を手繰り寄せ、ガクガクと揺すぶると、いつもの無表情で「ちょ………今は………揺すらないでくれ」と力の入らない手で押してくる。
「とにかく俺はデカいんだ。性器が」
 思わず「はっ」と自虐的な笑いがこみ上げた。まさかそれを伝えたいがために俺を連れてきたんじゃねーよな?
「おー、ソウデスネ。なにそれ、自慢?ぜんっぜんこれっぽっちも羨ましくねーんですけど!………………………や、嘘だけど………めっちゃ羨ましいです………」
だんだん語尾が小さくなってしまうのが悲しい。日本人の標準的な大きさとかいう一体ドコ調べっていう情報に比べると、俺のはほんのちょっとだけささやかなのだ。うう………チクショー。
だから俺には月森の言葉が嫌味にしか思えない。
「いや。大きいのも困りものなんだ。というのも、大きすぎて女性器にはまらなくて…………」
そう言う月森は本当に困っているようで、シュンとうなだれている。
「えーっと…もしかして困ってるのって、そのこと?」
おそるおそる尋ねると、月森は沈んだ顔で頷いた。
「………最初に気づいたのは、病院のナースとちょっとエッチな展開になった時のことだった」
「おう…?」
ナースさんとエッチという話題につい前のめりになってしまう。俺が一番好きなシチュエーションじゃん。ナースさんに優しく介抱なんかされちゃったわけ?唾を飲み込んで月森の言葉に聞き入った。
にも関わらず、相棒は憂鬱そうな顔をしていた。
「………『こんなに大きいの初めて』って言われて、その時は褒め言葉だと思ったんだ。経験値も積めそうだし、されるがままになっていたんだけど、色々試してくれて…………結局、挿入には至れず………」
なんだか気まずい雰囲気になってしまい、それからはエッチな展開に持っていってもフェラのみで、やはり挿入はなかったという。いや、それだけでも充分羨ましすぎるんだけどな!
「そしてその数日後、名前は伏せるが、ある女の子とセックスする展開になって」
「ちょっと待って?!それってさっきのナースさんじゃねえんだよな?数日後っておかしくね?」
「陽介、話が脱線するからそれは置いといてくれ、とにかく」
彼女………そう、仮にC・Sさんとしよう。そう月森は語り出した。
もともと緊張気味だったのもあり、挿入しようとしたがやはり挿らなくて、ぼろぼろ泣いてしまい、どうしようもなくなって中断した。結局その日はなだめてまた今度にしようって家に帰したんだ。そしたら三日後になって思い詰めたような顔で彼女に言われた。
『………いつも助けてもらってばかりで、少しでも何か返したいのに。なんで、あたし…こんななんだろうな……本当にごめん………君を受け入れられないちっぽけなあたしでごめん…!』
そう言って、彼女は走り去ってしまい、その子とはそれきりになってしまったらしい。
「そしてその翌日、俺は別の女子と再びセックスする機会を得た」
「いやいやいや、おい、ツッコミさせて?話を中断させるとしてもそこだけはツッコませて?おかし」
「ともかくだ。別の女子とセックスする機会を得た」
「スルーかよ!」
仮にR・Kとしよう。
彼女ともやはり一日目は挿入ができなかった。でも彼女は挿るまであきらめないと言ってくれた。だからできる限りのことはした。愛撫も重ねて、トロットロに蕩けきった状態で、あらゆる体位でチャレンジしてみた。
何度うまくいかなくても彼女の方が俺を励ましてくれた。そして何度もチャレンジした結果。
『先輩………あたし、すごく悔しい』
 そう言って目からぽろっとひと粒涙をこぼした。
『だって先輩の一番傍にいられるのに、こんなに気持ち良くしてくれるのに、自分に先輩を受け止めるだけの器が無いなんて悔しいよ!頑張って、できることはなんでもやったって、努力だけじゃどうしようもないことってあるんだね…………』
そう言って、彼女は泣きじゃくって、その子ともそれきりになってしまったのだった。
「更にその翌日、次にY・Aさん」
「あのさあ、もううっすら誰が誰だかわかっちまってるんですけど!仲間内で修羅場作るんじゃねえぞ?」
「大丈夫だ、その辺はぬかりない」
とにかくだ、Y・Aさん。彼女は今までの中で一番安産型だった。だから今度こそは行ける!………そう思っていた。
だけど、痛がるのを無理矢理押し進めたら………思い切りビンタされた。それも両頬。
「当然だろ!」
「というわけであっさり破局を迎えた。部活で仲良くなった女子や、おばあさんにも相談し」
「ちょ、ちょ、ちょ………」
慌てて手のひらで相棒の話を遮った。
「おま、老婆とまでエッチしたの?範囲広すぎだろ!…………ってまさか、お前、菜々子ちゃんまで毒牙に」
すると、月森にどぎつい眼差しで見下ろされた。
「おばあさんには相談しただけだ。そして菜々子は愛し守るべき天使だ。というか、菜々子をそんな汚れた目で見てたのかお前は」
「滅相もございません話を続けてください!」
ひと息で言い切ると、月森が咳払いして話を続けた。
「するとどこかで噂が広がったのか、俺を訪ねてくる女子が現れるようになった」
「あー、そういや一時期、女子が昼休みとか放課後、よくお前を訪ねて来てたっけなあ」
毎回見たことない女子がやって来るから相変わらず顔の広い奴ーとか思って見てたけど。…………え、もしかして今の話の流れからすると。
「どうも『挿入まで至れたら俺の彼女になれる』という噂が広まっていたみたいで………」
「…じゃあ、あれって月森とエッチしに来た女子たちだったのかよ?マジかよー!羨ましすぎるんですけど!」
 月森は頷きながら合掌した。
「まあ俺もデートとか雰囲気作りから始めるのは骨が折れたんで、正直向こうから来てくれて最初からセックスできるのは有り難かった」
「や、そこはオブラートに包んどこうぜ………?」
それで月森のご立派様を拝謁する女子が順番待ちするようになったらしい。
「だからもし俺の性器がぴったりはまる女子がいたらどんな子でもしばらくは付き合う覚悟を決めて、とにかく片っ端からハメてみた」
「ガラスの靴に群がる女子がどうのっていうおとぎ話かよ!ってだいぶお下品なおとぎ話だけど!」
まあこんだけイケメンで優しくて頭も良くて頼りになる奴だったら付き合いたい、それが無理でも抱かれてみたい、思い出を作りたいって女子はたくさんいるだろうなあ。
なのに月森は憂鬱そうな顔でふう、とため息を吐いた。
「けど、やっぱりダメだった。結局、最後までできる子は一人もいなくて、みんな泣きながら俺の前から去っていった………」
「うっうっ………涙の出る話だぜ………」
 泣く素振りをすると、月森は「わかってくれるか…」と泣きそうに顔を歪めた。
「だが、まだ望みはあった」
そうして気持ちを切り替えるように大きく息を吐き、やがて月森はぐっと手に拳を作った。
「そしたら今度は男が現れるようになった。そう、俺に抱いてほしいって男たちがな。それで気がついたんだ。なにも女性にこだわる必要はなかったんだ。男同士だってセックスはできる!」
「いや、そこはこだわれよ!なんで好きこのんで男同士なんて…」
でもたしかに月森にだったら抱かれてもいいって男はいくらでもいそうな気がする。………すごいな、コイツ。それに関しては全然羨ましくはないけども。
「………それでまたチャレンジしたわけ?」
「ああ、できる体位とか道具、方法は全部試してみた………だけど…」
「やっぱダメだったんだ?………あー、それで俺に相談したってわけ?」
すると月森は首を横に振った。
「いや、陽介は最後だ。その前に部活とか、近所で仲良くしているみんなに事情を明かして頼んで、研究も重ね、何度も身体を重ねてみた」
その男たちのイニシャルや経緯を聞きながら、なぜか胸がもやっとした。
ちょっと待て。なんで俺が男性陣の中でも最後なわけ?普通だったら相棒の俺にまず相談するだろう?……いや、相談されても困るんだけど。
「テクニックに関しては問題ないんだ。むしろみんな挿入まではアンアンよがって俺を欲しがった」
「ちょ、そういう具体的な話はいいから……!」
思わず手のひらで遮った。俺の身近な人間とのシモ話など聞きたくない。月森とソイツが一緒に居たら、そういう目でしか見れなくなってしまう。……まあだいぶ手遅れのような気もするけど。
「ともかくいざ挿入ってなると大きすぎてどう頑張っても入らなくて。一度は流血沙汰にもなってしまった………」
「ひぇ…」
ぞぞぞっと背筋が汗で冷え、思わず自分の腕を抱きしめた。
「っていうかさ、なんでそこまで頑張るわけ…?オナニーじゃダメなのかよ?」
女子ならともかく、男とまで関係を持つなんて尋常じゃない。月森は憂いのある顔で俺を見た。
「男のお前ならわかるだろう?男に生まれてきたからには一生に一度くらいセックスしたいって」
「そりゃ、まあ………」
わからなくもないけど。………嘘です、めっちゃわかります!だって、男の子だもん!
「俺はしたい!セックスがしたい!」
「ちょ、声がデカい!ご近所さんに聞こえちまうぅ!」
慌てて月森の口を手で塞いだ。イメージダウンにも程がある。菜々子ちゃんがちょうど友達の家に遊びに出かけていたのが不幸中の幸いだったぜ。
「はあ、はあ………すまない、取り乱した」
「や、気持ちはわかるよ。そりゃ、男だしな。けどさ、そんなに焦ることはないんじゃねーの?まだこれから出会う子となんつーか…そういう関係になるかもしんないじゃん。好きな人ができたらゆっくり焦らずやっていけば………」
月森がなにか含みのある目で俺を見ていた。
そしてぽつりと呟いた。
「時間が、あまりないんだ………」
憂いに満ちた瞳。それを見て、胸にストンと落ちるものがあった。
「好きな子が………いるのか?」
本気で好きな人がいるのか。この八十稲羽の地に。今までの歴代の彼女彼氏ではなく、本気で付き合いたい子が。だから、バカみたいに挑戦し続けてきたのかよ。そんなにしてまで付き合いたい女の子がいるのかよ。
おそるおそる覗きこむと、相棒は長いまつげを伏せ、無言のまま、やがて頷いた。
………いつの間に好きな子ができたんだよ。今までそんな話、聞いたことがなかった。
「今の俺には告白するだけの勇気がない。こんな俺を受け入れてくれるのか、付き合ってもし挿入できなかったら……そう思うと怖いんだ」
月森は目を瞑り、拳を握ると、やがて俺を見た。
「だから………もし、陽介が俺とのセックスに付き合ってくれて、挿入までできたなら、自信をもってちゃんと告白しようと思っている」
「………もし、うまくいかなかったら?」
 月森は苦々しい顔で笑った。
「陽介とも駄目だったら、すっぱりとこの想いを断ち切って、友達で居続けるよ。これ以上周りに迷惑はかけられない」
そう言われてなぜか胸がズキンと痛んだ。
本気なんだ。こんなバカみたいなことをし続けるのも、それだけその子のことが本気で好きなんだ。そりゃそうだよな。エッチできないかもしれないのを前提で告白するなんて、男にはハードルが高すぎるもんな。
そっか、俺はそのための練習台ってわけか。
「こんなこと、お前に頼むのはおかしいと自分でもわかっている。だけど、お前しか居ないんだ。頼む………陽介!」
がしっと肩を掴まれて、抱き寄せられた。
「俺を…………本当の男にしてくれ!」
そう言われ、胸が嫌な感じで脈打っていた。
苦しい。なんで、こんなに胸が苦しいんだろう。
「陽介」
そう促されて、何も答えられない。
「陽介のこと、精一杯気持ち良くするから。できるだけ陽介が痛い思いをしないように細心の注意を払う。たくさん気持ち良くする」
もう一度、強い力で抱きしめられた。
「あのさ、相棒………ひとつだけ聞いてもいいか?」
「なんだ?」
抱きしめられていた腕が緩められ、距離を置けたので、少しだけ冷静な気持ちを取り戻せた。
聞くのは怖かったけど、今聞かないとずっと聞けないままな気がする。だから震えてしまう唇をどうにか開いて尋ねた。
「どうして俺が一番最後だったんだ………?」
俺にだけは頼みたくなかったとも言っていた。そんなに俺は頼りないんだろうか。もし最初に俺のことを頼ってくれたら、もっと違う気持ちで頷けたかもしれないのに。
月森は視線をさまよわせ、やがて俺の目を見て言った。
「お前は大切な…………大切な相棒だ。本当はこんなことにお前を付き合わせたくはなかった」
眉を寄せ、苦渋の表情をしていた。
嘘を言っているわけじゃなさそうだ。だけどそれが全部でもないような気がする。きっとまだ何かある。けど、これ以上追求しても月森は答えてはくれなさそうだ。とりあえず、そのことは考えないことにした。
そんでもって…月森と俺がエッチする…?
月森が女の子を抱く姿は簡単に想像できるけど、俺を抱いている姿なんてまるで想像がつかなかった。
でも、相棒が困っているんだし、力になりたいし、尻に突っ込まれるなんて怖いけど、こいつにだったら任せても大丈夫だろうっていう不思議な安心感がある。
唾を飲み込んで、頷いた。もともと始めから答えはひとつだったんだ。何をためらうことがあるんだよ。
「ん………いいよ。俺で良ければ付き合ってやるよ」
なにか胸にモヤモヤとしたものを抱えながらもそう答えると、ぱあっと月森の顔が輝いた。
「本当か…?有り難う………恩に着る!」
両手を掴まれ、ぎゅっと握手した。
気持ちがどことなく冴えなかった。月森が喜んでくれている。相棒の力になれるのが嬉しい。なのに、なんで………。素直に月森の恋を応援したい気持ちになれなかった。自分で自分の気持ちがよくわからなかった。
「じゃあ今日からさっそくでいい?」
「…ああ、いいぜ」
 自分の決意が揺るがないように肯くと、月森が後ろにあるタンスから着替えを出した。
「それじゃ、シャワーで身体を綺麗にしてきてくれるか?」
 バスタオルも一緒に手渡されて、思わずごくりと喉を鳴らした。


 人の家のシャワーを昼間から借りるなんて不思議な感じだ。同時に尻を念入りに洗っていると、これから月森とセックスするんだという実感がじわじわと湧き上がってくる。どんなことになったとしても、俺と月森の関係は変わらないよな…?そう願わずにはいられなかった。


 借りたTシャツとスウェットを身につけて部屋に戻ると、月森はたたんでいた布団を敷いていた。その傍には必要な道具が入った箱が置いてある。本当に手慣れているな。月森は布団の上にバスタオルを敷くと、自分の着替えを出した。
「じゃあ、俺も軽くシャワーを浴びてくるから、陽介は寛いでいて」
 濡れた髪を拭きながら、道具が入っている箱を見ると、ラブローションが半分くらい減っている。ここで何人の奴としたのやら。そんで、俺としたことも全部ひっくるめて、経験値を積んだ上で好きな子に全部を捧げるんだろうな。
 足を抱えてぼんやり待っていると、月森が階段を上がって来る足音がした。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




今日も月森の部屋へ直行するもんだと思っていたら、なぜかバイクを飛ばして沖奈へやって来た。
「………ラブホでも行くのか?」
もしかして、堂島さんか菜々子ちゃんがうちにいるとか。
「いや、今日は陽介と遊びたいなって思って」
「はあ?昨日の続きは?」
「陽介、何だか調子が悪そうだし、気分転換しよう」
駅前を歩き、「ゲームセンターとショッピングだったらどっちが良い?」と尋ねてくる。顔を上げられなかった。月森は変わらず俺を大事にしてくれる。きっと本命と結ばれたとしてもそうなんだろう。でも、きっとこいつの一番近くにはその子がいて、俺はいない。
「………なんで」
「ん?」
「お前、早く好きな子に告白したいんだろ。俺の機嫌なんかどうだっていいだろ!」
当たり散らしてるってわかっている。それでも自分で自分が止められなかった。なんでこんなにイライラしているのか自分でもわからない。
顔を上げると、月森が静かな眼差しで俺を見ていた。
「俺の頼みに付き合わせているんだ。陽介の気分が乗らない時まで無理させるつもりはない」
「気分が乗らないなんて、いつ言ったんだよ」
スマホを取り出して、男同士でも入れるラブホテルを検索した。一番近いところに月森を引っ張っていく。制服のままだし、初めて入ったから緊張したけど、対面式じゃなくて、タッチパネルで入金して部屋を自動音声で案内されるタイプだったのでほっとした。
一番シンプルな部屋を選択し、休憩にしてそこへと入室した。
「ほら、やろうぜ。続き」
ベッドの傍にヘッドフォンを置き、シャツも脱いで、ボトムスも自分で脱いだ。
「陽介………」
「ああ、シャワー浴びた方がいいよな?先に入るぜ」
シャワールームに移動しようとすると、突然、後ろから抱きしめられた。
「陽介はなにをそんなにイライラしてるんだ?」
「別に、なんにも」
「嘘だ。昨日、俺がしたことが嫌だった?」
 首を横に振った。
「嫌ならここに来ないだろ」
「…もしかして、俺に好きな人がいるのが嫌、とか?」
そう言われて、ドクドクと心臓が嫌な音をたてた。まただ、この感じ。胸が苦しい。
「苦しい………離せよ」
「俺……スイッチが入ったみたいだ」
「え?」
急に視界がひっくり返って、天井が飛び込んできた。ベッドの上に倒されたのか。月森に手首を掴まれ、ベッドに縫い付けられた。
そしてトン、と俺の心臓に指を指した。
「今日は嫌がっても陽介のこと、抱くから」
ドク、ドク、と嫌な音がいっそう増していく。


拍手[0回]

PR

No.230|オフ活動Comment(0)Trackback

Comment

Comment Thanks★

Name

Title

Mail

URL



Pass Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字