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ラフレシ庵+ダブルメガネ


【主丸】セクシーなのキュートなの

2023/09/09(Sat)17:30

X(旧Twitter)でお題を募って書いた主丸SSです。

お題→主人公とジョーカーに取り合いをされる丸喜先生

楽しいお題だったのであっという間に書けちゃいました。

SSはつづきリンクからどうぞ。



 外は雪が降って寒かった。部屋の中はエアコンの暖かさもあってうとうとと眠くなってしまう。
 隣に彼がいるので安心して身を寄せた。
 穏やかな口調で声をかけられて、それすらも眠気の要因となる。
「『俺』だけで本当に満足か?」
 不意に反対側から声をかけられて見ると、ジョーカーの姿をしている彼がいる。
「君は……どうして」
「丸喜が俺に会いたかったんじゃないか?」
「そ、れは……」
 違うとは否定できなかった。


 ジョーカー。器用で大胆で、どんな大敵にも屈しない、絶望的な状況でも希望を決して失わない、強い意志を持った夜の明星みたいな存在。
 彼がいなければ今の僕はいない。世界を変革させる程の力にも屈せずに僕の元にやってきてくれた。僕のどうしようもない「心」を救ってくれた、ヒーローみたいな存在だ。
「うん。逢いたかった……ずっと。ずっと」
 仮面をはずした彼が口角をあげて微笑んだ。それはいつもの彼とは違いどこか凶悪な雰囲気を纏っている。腰を後ろから強引に引き寄せられ、彼の器用な指に顎を掴まれて、身動きが取れない。その漆黒の吸い込まれるような瞳にとらえられ、目を離すことができない。
「あ……」
 整った顔が近づいてきて、キスされる。そう思った時だった。
「丸喜。しっかりしてください。俺はここにいます」
 反対側から声をかけられて、見るといつもの現実世界の彼がいる。優しい日向みたいな対極の存在だ。
 彼が煎れてくれるコーヒーを飲むといつもホッとする。大変な境遇だっただろうに乗り越えて、僕の言葉をまっすぐな眼差しで耳を傾けてくれる。しっかり者だけど少年らしく素直に振る舞ってくれる時もある。それがなんだか嬉しくて、ずっとずっと傍にいたくなる存在。
「丸喜はどっちを選ぶんだ?」
「え?」
 両側からひたりと眼差しをむけられて、思わず視線をさまよわせる。
 けれどジョーカーに腰を抱かれて、反対側から彼に手を掴まれて、身動きがとれない。
「どっちかを選ばなくちゃいけないの……?」
 だって、どっちも君で、僕には替えがたい存在で。
 不意に聞き覚えのあるBGMがかかる。
 セクシーなの、キュートなの、どっちがタイプよ?
「さあ」
「選んで、俺を」
「いや、俺だ」
 ジョーカーと彼に詰め寄られて、僕はわなわなと震える唇を懸命に開いた。


「丸喜。起きてください。こんなところで寝たら風邪ひきますよ」
 隣にいたのはジョーカーじゃない、いつもの彼だった。
「あ、れ……?」
 きょろきょろと見渡すと、そこは古びたカラオケの個室だ。
「ジョーカーは……?」
「夢でも見てたんですか?」
 だんだんと意識がはっきりしてくる。そうだ。たまには奮発しようと二人でディナービュッフェに出かけたら、突然の大雪で電車が運休になって帰れなくなってしまい、カラオケで一夜を過ごすことにしたんだっけ。
 さっき夢の中で流れていた曲が今も流れている。
「これ、君が歌ってたんだ」
 意外な選曲だなと思わず笑いが漏れる。彼はジト目で僕を見ている。これは夢の内容を明かさないと許してはもらえなさそうだ。
「君とジョーカーの姿の君が出てきてね。どっちかを選べって迫られたんだ」
「へえ。で、どっちを選んだんです?」
 彼の瞳はどこか焦りや苛立ちを含んでいるようにも見える。どちらを選んでも君なのに。今も目の前の彼の瞳に反逆の炎は宿っているように思える。
「選ぶ前に夢は終わっちゃったんだ。でも、そうだな。選べって言われたら」
 彼をぎゅっと抱きしめた。いつの間にか曲は終わっていた。遠くの部屋から重低音だけが聞こえる。その耳元に伝える。
「答えは『どっちも』だよ。僕は欲張りだからね」
 君の中にジョーカーもいるんだろう? そう顔を上げて問いかけると、彼はいつものふわりとした優しい笑顔ではない。口角を上げ、悪い顔をして鮮やかに笑った。
「ふたり分の愛は重いぞ。覚悟はいいか?」
 低い声に思わず身体がブルリと震えた。
 ああ、あの夢は僕の願望だったのかもしれない。
「うん。……僕にはそれくらいがちょうど良いんだ。きっと」

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No.320|主丸SSComment(0)Trackback

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