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ラフレシ庵+ダブルメガネ


WEB再録集「青春フルーツポンチ」サンプル

2017/04/19(Wed)19:03



pixivやこちらやツイッターなどWEB上で公開していたSSに書き下ろし「青春!サキュバスくん」を加えて、一冊の再録集にまとめました。
各タイトルはこちらです↓



(再録にあたって読みやすいよう修正を加えたため、作品をブログから削除しています)

文庫サイズ/180p/1100円(イベント価格)/R18

とらさん通販はこちら→

書き下ろしの本文サンプルは続きからどうぞ。



青春!サキュバスくん


「は~い、席についてぇん」
柏木先生が身体をくねらせた後、教壇の上に大きな胸を乗せて頬杖をつき、「うふん」と魅惑?のポーズをとった。たぶん人間世界ではあれが人をその気にさせるポーズなんだろう。………俺にはよくわからないけど。
「じゃあ、今日は人間を誘う時のロールプレイをするわね。私がやってもいいけどぉ、ウフフ、それじゃあんまり上手でみんな、やる気を失せちゃうでしょ~?誰かお手本を見せてくれる子、いるかしら?」
ざわざわしてる中、「はい」と天城が手を挙げた。
天城は「相手が欲しいので、里中さんに手伝ってもらってもいいですか?」と先生に尋ねた。里中がびっくりしたように天城を見た。
「えっ、あたし?男子じゃなくて?」
「うん、千枝相手なら私も頑張れると思うから」
「わ、わかった………っ」
里中は恥ずかしそうに頷き、先生も「いいわよぉん」とOKサインを出したので、ふたりは一緒に席を立った。里中が移動して黒板の前で緊張しながら待っていると、天城がゆっくりと歩いて近づいていく。とてもおしとやかな歩き方に周囲からため息がもれる。里中は顔を赤くして天城を見ている。
里中の目の前に立った天城はゆっくりと里中の両手を取った。しばし赤くなって見つめ合うふたり。
「しよっか」
「う………うん」
おお、と生徒たちがざわめいた。たしかにすごい、なにか色っぽいポーズとかとったわけじゃない。ただ目と目を合わせただけで合意をとりつけたのだ。
「や、やるじゃない。席に戻りなさい」
天城と里中が手を繋ぎながら戻ってくる。まだ役が抜けきらないのか、里中はまだ顔が赤く、ぽーっとしている。
それを見て、天城が先生に尋ねた。
「先生、里中さんが具合悪そうなので、保健室に連れて行ってもいいですか?」
「え………雪子?」
「あら?そうね、なんか熱っぽい顔してるわね。じゃあ行ってきなさい」
天城が「行こう、千枝」とそっと里中の背中を押した。
頷いて応えた里中とともに、二人で教室を出て行った。
天城はこの学校の中でもトップクラスの成績だった。あの清楚な雰囲気から想像もつかないような××や△△△などという卑猥な単語が次から次へと飛び出し、相手が圧倒されてる間にどんどん展開を進めてしまうのだ。たまに意味不明なところで笑いのツボにはまり、ロールプレイが中断してしまうのがタマに傷だけど、そんなところが天城らしいともいえる。

俺たちはサキュバス。人間世界の男たちを夢の中で誘惑し、エッチな夢を見せて夢精させることで、本体の精エナジーを吸い取るのだ。
俺たちはまだ学生なので、立派なサキュバスになるべく勉強している最中だ。
俺と陽介もこの学校に入ってから戸惑うことの連続だった。なんとか試験をパスして最高学年まで達することができた。
なぜ男がサキュバスなのかと他の種族から不思議に思われることがある。通常、男相手がサキュバス、女相手がインキュバスと呼ばれる。人間にも色々な嗜好のものがいる。一般的には男性は女性を好む。しかし男性を好む男性もいるのだ。そんな時のために俺たち男のサキュバスは存在する。男を誘惑して、ネコ役を演じて、その間に精エナジーをいただくのだ。自分がサキュバスになるかインキュバスになるかはそれぞれの適正を判断して自分がすすみたい進路に進むのだ。

放課後、なにか話したそうな陽介と一緒に鮫川まで移動して、川のほとりに並んで座った。陽介の横顔はどこか冴えない。
「なんとか試験にはパスしたけどさ、俺ら、本当にサキュバスになれるのかなー………」
「そんな弱気になるな。陽介だったら絶対人間もイチコロだって」
「そうかなー」
陽介は膝を丸めて腕で抱きしめている。男だけど、喋り方とかコロコロ変わる表情とか、どことなく可愛らしい雰囲気がある。素質は充分にあるはずだ。
「じゃあ、俺が人間だと思って陽介やってみて」
「誘う時のロールプレイか?んじゃ、やってみるから………笑うなよ」
俺が座って待っていると、向こうから陽介が歩いてくる。なんだか頑張って腰をくねらせている。
「うっふーん」
「…ちょっと待った陽介、ストップ!」
「え?まだ始まったばっかだけど?」
陽介は意外とばかりに俺を見ている。
「陽介はそういうオカマっぽい演技はいらないと思う………。その、素で充分魅力的だから……」  
「その素ってのがよくわかんねーんだよ!」
「だから、………そうだな…たとえば好きな子に振り向いて欲しいみたいな感じ」
そう言うと、陽介は「好きな子………」と考えこむように呟き、やがて顔を上げた。その表情に釘付けになった。今まで見たことのない真剣な表情。ちょっと頬を赤らめて、やや上目がちに俺を見つめている。鼓動がせわしない。目の前に立った陽介が両手でゆっくりと俺の手を握る。
鼻にかかったような甘い声で言葉を紡いだ。
「あの…あのさ………その、…………俺と…シよ?」
「ああ」
思わず肯いて肩に手を置いた。唇にキスしようと顔を近づけると、夢見がちな瞳の陽介と目が合った。それもつかの間、「ちょ、相棒っ?」とびっくりしたように陽介は顔を離し、目を白黒させた。
「あ………ごめん、陽介の演技がすごいからなんか…その気になっちゃって…」
「や………うん………だったらいいんだけど………や、その!演技的な意味で!」
「あ、ああ………」
ふたりで黙り込んでしまった。顔が熱い。意識してしまうともう駄目だ。陽介のことが好きだ。ずっと傍にいたい。今みたいな顔、たとえ仕事だとしても他の男にしてほしくない。人間にとって夢でも、俺たちにとっては現実だ。陽介が他の男と性交するなんて考えたくない。
「なんか………実感湧かねーんだよな。来年の今頃はサキュバスとして仕事してるなんてさ」
陽介を見ると、川の水面をぼんやりとみつめていた。
「うん………俺もだ」
「なあ、ずっと聞きたかったんだけどさ。お前、インキュバスの方もバリバリ適正出てたじゃん。なんでこっちにしたんだ?」
 学校に行く前に適正検査をした時、確かにインキュバスの方がずっと適正はあった。そっちの道の方が俺にとってずっと容易い道だったかもしれない。だけど俺はサキュバスの進学コースに希望を出した。

 


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