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ラフレシ庵+ダブルメガネ


「ジュネシックランドで愛を叫べ」サンプル

2019/01/16(Wed)22:29

1/27に開催されるアナザーコントロール10の新刊サンプルです。
ゲームを一周した勢いでPQ2本です。



特別上映で発生したのは相棒をめぐる恋のバトルだった。なぜかジョーカーも参戦するが、その意図は…?そしてバトルの行方は?
PQ2特別上映捏造、ストーリーネタバレなし。メインは主人公×陽介。ジョーカー×陽介要素も有。

A5/36p/¥400(イベント価格)/R18

とらのあなで委託通販を扱っていただいてます。→
自家通販はイベント後に開始する予定です。

本文サンプルはつづきのリンクからどうぞ。
R18部分はこちらのブログでは載せられないので、気になる方はpixivかとらのサンプルをご覧ください。



それは心の怪盗団、特別捜査隊、そして特別課外活動部のメンバーが合流した後の話だ。
「はー、もうダメ…ちょっと休ませて」
「お疲れさん」
 前線で戦ったメンバーがロビーのソファに座って休憩している。今は心の怪盗団と特別課外活動部のメンバーがメインとなって前線で戦っている。映画の中のシャドウがどんどん強くなってきて、映画館に戻ってくる頃には疲れきって今にも倒れそうな顔で帰ってきている。
 レベル上げをして皆、少しずつ強くはなっているけど、ここら辺で少し息抜きをした方が良いのかもしれない。
「雨宮、お疲れ。エリザベスさんの所で新しいチケットが発券されたみたいだ」
 相棒に言われて、雨宮が頷いた。
「よし、行ってみよう」
 そのひと声で、みんなでチケット売り場に移動した。
チケットカウンターへ行くと、エリザベスさんはとても楽しそうな表情で俺たちを見渡した。
「皆さまにおかれましては、様々なジャンルの映画を拝見させていただき、私、大変楽しませていただいています。ですが!」
突然カウンターの外に出てきたと思ったら、両手で頭を抱えて大げさに嘆きのポーズをした。あ、何か嫌な予感がする…。
「何ということでしょう。今現在、映画につきもののアレがないではありませんか!」
そう言われて俺は相棒と顔を見合わせた。
「映画につきものって言うと…ポップコーンか? や、もうあるか」
「この流れだと、映画のジャンルって話じゃないか?」
俺たちの会話をいっさい無視し、エリザベスさんは話を続けた。これ、俺らに尋ねた意味があった?
「人の心は移ろいやすく、何がきっかけで火がつくかわらかない。ゆえにおもしろ…いえ、興味深い。そう、それが恋! ラブロマンスでございます」
「今、面白いって言ったよな、この人」
「ああ、言ったな」
俺たちのツッコミも一切気にした様子もなく、エリザベスさんの暴走は続いた。
「密林の中、恐竜たちや自然の驚異に立ち向かう人間。困難の果てに生まれる恋! そして燃え拡がる恋のガチバトル。『好き』と『好き』とがぶつかる大戦争! わたくし、そんな映画を観たいのでございます。というわけで、こんな特別上映が発生いたしました」
掲示されたチケットには、「ジュネシックランドの片隅で愛を叫べ」というタイトルがついていた。
それを見て、女子たちがチケットカウンターの前に群がった。女子って恋愛ものが好きだよなあ。
「この上映の主人公は鳴上様となっております。上映される際、鳴上様は必ずご参加いただきますようお願いします。なお、他の参加者は自由となっておりますので、恋のお相手になりたい方はどしどしご参加くださいませ」
「ちょ、ちょっと待て。それって、もしかして…相棒をめぐる恋のバトルってこと?」
エリザベスさんが「まさにそのとおーりでございます」とチケットを両手で高く掲げた。そのチケットにはタイトルと共に相棒の写真がプリントされている。
「ハイ、ハイハイ! あたし参加する!」
りせが手を上げた。その後ろで直斗や天城、里中も熱い視線でチケットを見ている。焦って思わず制した。
「ちょ、ちょい待ち。まだこの特別上映のクエストをやるかも決まってねえだろ」
リーダーの雨宮は相棒を見た。
「どうする? やってみるか」
「…ちなみに、この上映の報酬って何ですか?」
 相棒がエリザベスさんに尋ねると、彼女は美しい顔で微笑んだ。
「鳴上様と勝者の方のためにとてもスイーーートなお部屋を用意させていただきました。そのお部屋とふたりきりの甘ーいひと時が今回の報酬でございます」
その言葉に思わず想像した。この中の誰かが相棒の腕に抱かれて甘いひと時を過ごしているのを。想像するだけで胸を掻きむしりたくなった。
「俺は構わない」
相棒はそう言って、俺に視線を投げかけた。なぜか愉しそうな目をしている。思わずムッとした。なんでそんな余裕な顔をしているんだよ。
俺と相棒は付き合っている。だけど俺たちが恋人同士ってことは特捜隊のメンバーにも打ち明けていなかった。
相棒は仲間に打ち明けたいと言っていた。だけど俺にオープンにする勇気はなかった。だって相棒はイケメンだし、優しいし行動力もあるし、悩みごとにも寄り添ってくれる。特捜隊の女子は皆、相棒のことが好きだし、他にも部活の子とかバイト先でも色んな出会いがあるわけで。そんな中で男の俺を選んでくれたことが今でも信じられない。
相棒の気持ちを信じていないわけじゃないけど、本当に俺でいいのかなとか、今は良くてもいつか気持ちも冷めてしまうんじゃないかって思ってしまう。
好きだって気持ちでは誰にも負けたくないけど、だからと言って公然とする勇気は俺にはなかった。
雨宮が相棒に何か小声で話している。なぜか相棒は目を丸くして、それを見て雨宮がおかしそうに笑っている。
雨宮は俺たちを見渡してから言った。
「このところ戦闘続きでみんな疲れているだろう。たまには息抜きも必要だ。鳴上が良いならやってみようか。メンバーは参加したい人のみとする」
「あーそれ賛成。ちょっと疲れたし、私は休憩がてらこっちから観させてもらうわ」
 岳羽さんのひと声に、最近戦闘に参加しているメンバーたちが頷いた。
すると、りせの他に、里中、天城、直斗、そしてクマと完二も手を挙げた。
里中と天城は恥ずかしそうに顔を赤くした。
「恋のバトルっていうからには戦いがあるんだよね。まだ戦い足りないからさあ…えへへ」
「私も燃やし足りないから、うん」
りせが頬をぷくっとふくらませた。
「もう、ふたりとも素直に参加したいって言えば良いのに。っていうか直斗君も参加するの?」
直斗も恥ずかしそうにキャスケットを目深にかぶり直している。
「もし頭脳戦になった場合、僕の知識が必要になるかもしれないと。べ、別に先輩の恋の相手になれるなんて、そんな大それたことは思ってませんから…っ」
「直斗君ってば可愛いっ! でも恋のバトルには絶対負けないよ。それで、クマと完二は?」
クマは相棒のまわりを跳ねまわっている。
「センセイが参加するならクマ、どこまでも行くクマよ~」
完二は気合いを入れるように腕まくりした。
「なんかよくわかんねーけど、ようするに敵をぶちのめせば良いんだろ!」
「お前ら主旨がわかってないだろ!」
りせと女子達が俺を見た。
「で、花村先輩は?」
「え、俺?」
「参加する?」
みんなの視線が集まって、鼓動が跳ねた。
恋のバトルってヤツに勝利した女子が相棒の隣のいることを想像したら、胸がぎゅうっと苦しくなった。万が一俺たちの関係が公になってしまったとしても、俺は…相棒の隣だけは絶対譲りたくない。
「俺も参加する。………っつーか、俺がいないとお前ら、騒ぎまくって収集がつかないだろ」
そう言うと、りせは「ふうん」と何かをサーチするような目で俺を見た。が、すぐに雨宮に向き直った。
「じゃあ特捜隊は全員参加ってことで、お願いします」
「了解した。それと、俺も参加しよう」
何食わぬ顔で、雨宮は参加しないメンバーたちに映画館の中から観ていてくれと伝えている。
「えっと…雨宮もって…何で?」
 思わず問い返すと、雨宮が楽し気に俺を見た。
「こんな楽しそうなショータイム、参加しないともったいないだろう。それにもっと絆を深めたいしな」
 含みのある視線を向けられて、ドキッとした。それって、相棒のことを少なからず興味があるってことだよな? 反対したかったけど、うまい言葉が見つからない。
「雨宮」
相棒が苦い顔をして雨宮を見ている。
「構わないだろう? 自由参加なんだ」
「それはそうだが…お前は」
 相棒が言いかけたところを雨宮が唇の前で人差し指を当てて制した。
「色々話を聞いているうちに興味が湧いてきたんだ」
「それって…」
 雨宮が口端を釣り上げて笑った。それを見て、相棒が表情を硬くした。
 お互い目と目で通じ合っているような感じがして、すごくモヤモヤする。違う時代からやってきても、同じワイルドっていう力を持つ者同士、通じ合うものがあるんだろう。
いつもは心強い味方だけど、相棒をめぐるバトルに参加するとなると、とんでもないライバルが現れたとしか思えない。
「参加される方も決まったようですね。では、どうぞチケットをお受け取りください」 
エリザベスさんが差し出したチケットを雨宮が受け取ると、奥のシアターで映画が始まるブザー音が鳴った。
「よし、行こう」
雨宮が先頭をきり、相棒がその後を歩いた。いつものようにその隣を歩いた。
「信じている」
それは俺以外には聞こえないボリュームの声だった。思わず隣を見ると、相棒が俺の目を見て、無言で頷いた。
きっと陽介ならやれる。そう目が語っていた。
相棒が信じてくれるなら、何十倍も何百倍も力が湧いてくる。どんな戦いになるかわからないけど、絶対に負けたくない。相棒の信頼に応えたい。
きっと勝者となってみせる。そう心に誓った。
俺が頷き返すと、相棒は嬉しそうに微笑んだ。


ジュネシックランドに到着すると、エリザベスさんから指定された場所へ行った。
到着すると、見たことのないプラカードが地面に突き刺さっている。そしてその目の前には人が余裕で入る大きさの金属製の檻が三つあった。それぞれの檻に1、2、3と番号が振られている。
「なんだこれ…?」
そのプラカードに何か書いてあるようで、みんなで近づこうとすると、突然木々の間から何かが飛び出してきた。
「げっ、あいつは…!」
それは空を飛ぶタイプのF.O.E、サイドプテラだ。翼を翻して急降下したと思ったら、突然相棒を大きなくちばしにはさんだ。
「くっ」
「きゃーっ、センパイ!」
「相棒!」
相棒をくわえたまま、F.O.Eは猛スピードで空の彼方へ飛び去った。いつもみたいに法則通りの動きをするかと思って様子を見たが、戻って来る気配がない。どうやら今回はイレギュラーみたいだ。
慌ててペルソナを使ったが、すでに姿が見えなくなってしまった後で、追うことすらできなかった。
「相棒を追いかけないと!」
その時だった、どこからか、スピーカー越しの声が聞こえてきた。品のある落ち着いた女性の声だ。
『安心なさって。あのF.O.Eはすぐには彼を食べたりしないでしょう』
「でも…っ」
『彼のことが心配なのね。だったらなおさらこのクイズに真剣に挑むべきでしょう』
どこかで聞いたことのある声だ。だけど、今はそれどころじゃなかった。相棒を助けないと。
『このクイズに正解する程に彼の居場所に近づいていきます。全問正解した暁には彼の元へと導かれることでしょう』
なるほど、それがこの特別上映の肝ってわけだ。それならこの声の主の言う通り、相棒がすぐにどうこうなるってことはないだろう。
『クイズは三択となっています。皆様には選んだ番号の檻に入っていただきます』
見ると、それぞれの檻は完全に囲われていて、中に入ったら他へと移動することはできそうにない。
「ちなみに誰も正解者がいなかったら?」
直斗が真剣な表情で声の主に向けて問いかけた。すると声の主は抑揚のない声で告げた。
『その時、彼は誰にも理解されず、孤独にF.O.Eの餌食となって死を迎えることでしょう』
「そんなことは絶対させない。だろ?」
みんなで目を合わせ、「もちろん」と全員で頷いた。
「どんなエンディングを迎えるのか、非常に興味深いわ。では最初の質問よ。プラカードを見て頂戴」
俺たちは看板の前に立った。一体どんな難問が出されるかと構えたが、それを目にして、思わずガクッと肩が落ちた。
『鳴上様の一番好きな服は次のうち、どれでしょう? 選んだ服を身につけてください』
「なんだよこれ…ええと」
1番:ナース服
2番:セーラー服
3番:ブレザー
「ナースはヨウスケが好きな服クマね」
「うっさい! そういう余計なことは言うなっつーの」
「えーと。つまり、リーダーの一番好みの服を選んで着るってこと…?」
女子たちは気恥ずかしいのか顔を赤くしている。
「お前らは良いだろ。俺らなんて女装だぞ!」
「別に良いじゃん。花村はいつもスカート履いてるでしょ」
「いつも言うな! 相棒がこれを着て戦えってリーダー命令で仕方なく…」
言われてハッとした。もしかして、そういうこと…?
「さあ、十秒以内に選んでちょうだい。十、九、八…」
カウントが始まったので、迷っている暇はなかった。慌てて檻の中に入って、置いてある服を手に取った。
柵の脇には着替えをするための個室まで用意されている。
『一、〇。はい、終了です。着替え終わったら出てきてちょうだい』
声に従って出ていくと、柵の入り口は閉まっていて、中から開けることができない。仲間たちが三つに分断されてしまった。
いつ戦闘になっても良いように武器は構えているが、ブレザーのスカートが短くて、足下がスースーする。何でいつも身につけている女装衣装とまったく同じデザインのブレザーがここにあるんだ。
無意識にいつもの癖でハイソックスとイチゴのヘアゴムまで身に着けてしまった自分が憎い。スカートの端を掴んで下に引っ張った。
選んだ時は慌てていたからわからなかったけど、改めて見ると、1番のナース服を選んだのは天城、完二だ。
「ふふ、完二君、に、似合ってるよ」
「マジっすか? 男完二、華を咲かせてみせます!」
「いやいや、色々やべーだろ!」
天城はピンク色のナース服が超絶似合ってて可愛いし眼福だ。それに対して完二の方はミニスカートは太ももであらぬものが見えそうになっていて、大変キケンだ。
そして2番のセーラー服には直斗とクマが選んでいた。直斗はいつも男装をしているから、女装? は初めて見た。
「ナオちゃんかわいいクマー」
クマにハグされて、恥ずかしそうに直斗はうつむいている。
「他の服よりかはまだ抵抗がないから仕方なくこれを選んだんです。その、見ないでください…」
直斗とは対照的に、クマはスカートを翻して楽しそうだ。
「クマもコーコーセイになってみたかったからうれしいクマー」
それで3番のブレザーを選んだのは俺、里中、りせ、ジョーカーの四人だ。
「いやあ。私、ブレザーって着てみたかったんだー」
「そういう理由で選ぶんじゃねえよ! んで、りせは何でブレザーにしたんだ?」
「この衣装が花村先輩の着ていたブレザーと同じだから」
根拠の足りない理由のように思われたが、可愛い瞳がじっと見上げてきて、りせなりに自信があるみたいだ。だからそれ以上何も言えなかった。
「ジョーカーは何で?」
りせが尋ねた。ジョーカーは涼し気な顔でブレザーのスカートを着こなしている。その上、仮面をまとっているから怪しいことこの上ない。
「俺は花村と一緒が一番楽しそうだと思って」
「え…? それって」



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