【主花SS】陽介の陽は
2025/06/22(Sun)22:30
陽介誕生日おめでとう~~~~2025!SS
高3主花、恋人未満なふたりのやりとり
主人公:鳴上悠
本文はつづきリンクからどうぞ!
『陽介の陽は太陽の陽?』
昼休み、パンを食べ終えて机に突っ伏しているとメッセージが来た。起き上がり、相棒からメールが来た嬉しさとどう返信するべきなのかという迷いでケータイをじっと見つめた。
『いきなりなんだよ』
『陽介にぴったりな名前だなって思って。由来が気になった』
そう返信がすぐに来て、思わず顔が熱くなる。それを隠したくて机にめり込みそうな勢いで伏せる。きっといつもみたいに涼しい顔で書き込んでいるんだろう。まったく人たらしめ。
口元をゆがませて変な顔になっているだろうという自覚をしながらメッセージを返す。
『うちの親父が陽一って名前でそっから一文字もらったって昔聞いたな』
そう母さんから聞いた時は何だかガッカリしたんだよな。もっと俺にこうなってほしいとか漢字に深い意味があるのかもしれないと思っていたから。
いや、確かそれともうひとつ何か言っていたな。あまりにもガッカリしてその後に母さんが言ったことをすっかり忘れてしまった。
『お父さん、自分の名前をあげたいくらい愛しかったのかもな。今、こっちは梅雨休みなんだけど、晴れた空の太陽がまぶしくてとても気持ち良いんだ。もしかしたら陽介のご両親もそう感じたのかもしれないって思ったんだ』
そう返信が来て、不意に母さんの言葉を思い出した。
『陽介の他にもいくつか候補はあったんだけど、陽介を出産した日は梅雨休みのカラッとした気持ちいい天気の日でね。ああ、この子は太陽の子どもなんだって思ってスッと決まったのよ』
ああ、そうだ。母さんはあの時そう言ったんだ。
それを相棒が気づかせてくれるなんてヘンな感じだ。何だかくすぐったい気持ちになった。
『そうかもな』
シンプルにそう返信すると、今度は相棒から電話がかかってきた。
「おーっす。つかそっち、昼休み終わるんじゃね?」
『うん。でもどうしても声が聴きたくなって』
「おま……っ、そういうのは好きな子に言えっての」
こっちはますます好きにさせられてツラいのに。
『……好きな子にしか言わない。それから陽介、誕生日おめでとう。陽介と出会えて本当に嬉しい』
頭が真っ白になった。え、今のってどういう……。
『ごめん。鐘が鳴ったから切るな。それじゃまた』
「え、ちょ……ッ」
一方的に切られて、混乱した。
「ねえねえ今のって、リーダー?」
里中が何か話しかけてくるがまったく頭に入らない。
今、なんか好きとかなんとか言われなかったか?
「花村君、さっきから突っ伏してどうしたの?」
天城に話しかけられた気がしたが自分の心臓の音がうるさくて聞き取れない。
今のって俺の期待通りの言葉でいいんだろうか。
いつだったか、冬の高台でアイツが何か言おうとして飲み込んだ言葉も、もしかして同じだった?
一刻でも早く答え合わせがしたくて、放課後になってほしい気持ちでそわそわした。
高3主花、恋人未満なふたりのやりとり
主人公:鳴上悠
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『陽介の陽は太陽の陽?』
昼休み、パンを食べ終えて机に突っ伏しているとメッセージが来た。起き上がり、相棒からメールが来た嬉しさとどう返信するべきなのかという迷いでケータイをじっと見つめた。
『いきなりなんだよ』
『陽介にぴったりな名前だなって思って。由来が気になった』
そう返信がすぐに来て、思わず顔が熱くなる。それを隠したくて机にめり込みそうな勢いで伏せる。きっといつもみたいに涼しい顔で書き込んでいるんだろう。まったく人たらしめ。
口元をゆがませて変な顔になっているだろうという自覚をしながらメッセージを返す。
『うちの親父が陽一って名前でそっから一文字もらったって昔聞いたな』
そう母さんから聞いた時は何だかガッカリしたんだよな。もっと俺にこうなってほしいとか漢字に深い意味があるのかもしれないと思っていたから。
いや、確かそれともうひとつ何か言っていたな。あまりにもガッカリしてその後に母さんが言ったことをすっかり忘れてしまった。
『お父さん、自分の名前をあげたいくらい愛しかったのかもな。今、こっちは梅雨休みなんだけど、晴れた空の太陽がまぶしくてとても気持ち良いんだ。もしかしたら陽介のご両親もそう感じたのかもしれないって思ったんだ』
そう返信が来て、不意に母さんの言葉を思い出した。
『陽介の他にもいくつか候補はあったんだけど、陽介を出産した日は梅雨休みのカラッとした気持ちいい天気の日でね。ああ、この子は太陽の子どもなんだって思ってスッと決まったのよ』
ああ、そうだ。母さんはあの時そう言ったんだ。
それを相棒が気づかせてくれるなんてヘンな感じだ。何だかくすぐったい気持ちになった。
『そうかもな』
シンプルにそう返信すると、今度は相棒から電話がかかってきた。
「おーっす。つかそっち、昼休み終わるんじゃね?」
『うん。でもどうしても声が聴きたくなって』
「おま……っ、そういうのは好きな子に言えっての」
こっちはますます好きにさせられてツラいのに。
『……好きな子にしか言わない。それから陽介、誕生日おめでとう。陽介と出会えて本当に嬉しい』
頭が真っ白になった。え、今のってどういう……。
『ごめん。鐘が鳴ったから切るな。それじゃまた』
「え、ちょ……ッ」
一方的に切られて、混乱した。
「ねえねえ今のって、リーダー?」
里中が何か話しかけてくるがまったく頭に入らない。
今、なんか好きとかなんとか言われなかったか?
「花村君、さっきから突っ伏してどうしたの?」
天城に話しかけられた気がしたが自分の心臓の音がうるさくて聞き取れない。
今のって俺の期待通りの言葉でいいんだろうか。
いつだったか、冬の高台でアイツが何か言おうとして飲み込んだ言葉も、もしかして同じだった?
一刻でも早く答え合わせがしたくて、放課後になってほしい気持ちでそわそわした。
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No.345|主花SS|Comment(0)|Trackback