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ラフレシ庵+ダブルメガネ


アナザーコントロール2新刊「期間限定」サンプル

2016/02/01(Mon)10:28




1月から3か月限定でおつき合いすることになったふたり。
デートしたり看病されるうちに惹かれていく陽介だったが月森にはまだ明かされてない秘密があって…。

A5/40p/¥400(イベント価格)/デジタルレーザー/R18

通販についてはまた後日お知らせします。
【後日】
とらさんで予約が始まりました。
http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/38/90/040030389005.html


自家通販はイベント終了後に再開します。

サンプルは続きからどうぞ。

腰痛がひどすぎてイベントに行けるかちょっと心配なんですが(´・ω・`)
今日整体に行ったら劇的に良くなりました。ありがたいー!



 なんか思い出したら悲しくなってきた。こうやって男の友情を深めている方がよっぽど楽しい気がしてくる。
「あーもういっそ男に走っちまうとかアリかもな、なーんて」
 冗談っぽくそう言うと、なぜか月森が持っていた本を閉じてカッと目を見開いた。
「それだ…!」
「お、おいおいおいおい、落ち着け。今のは冗談だからな?なにが楽しくて男とつき合わなくちゃいけないんだ」
 俺のツッコミをものともせず、やれやれと言わんばかりに首を緩く振ってゆったりと笑みを浮かべている。
「陽介、偏見は良くないぞ。異性に絞っているから運命の相手が見つからないんだったら人生まるごと損することになるんだぞ?」
「いやいや、運命の相手が男って時点で色々おかしーだろッ!月森、はやまるな!まっとうな人生のレールから外れないでくれ!」
「大丈夫だ、陽介。俺たち相棒だろう?」
 月森はニイッと口端をつり上げて俺の肩に手を置いた。あ、このパターン嫌な予感しかしない…!すっと俺の前にもう片方の手のひらを差し出してきた。
「レールから外れるならお前と一緒だ。というか、男ならお前しかいないと思っている。陽介、俺とつき合おう!」
 慌てて差し出された手のひらを手で払った。
「なんでそーなるんだよ!俺をお前の脱線事故に巻き込まないで!っつか男ならもっと無数にいるだろ!いや、男に行くこと自体がそもそもおかしいんだけども!あーもうツッコミが追いつかねーよッ!」
「今、色々な相手で想像してみた。完二にクマ、尚紀、一条に長瀬に秀。遼太郎さんは血が繋がっているからパス。で、足立さんにガソスタの店員、そしてだいだらの親父、そして陽介」
「だいだらの親父も入るのかよ、守備範囲広いなお前!」
 月森お得意の片手で顔を覆うポーズをし(イケメンにのみ許されるポーズだと思っているが、ちくしょう、月森にはめちゃくちゃ似合っている…!)、その手を大きく振って俺を指さした。
「その中で抱いてもいい。真っ先にそう思えるのは陽介、お前だ!」
「そこまで一瞬で全員想像したのかよ。すげーなお前!」
 こいつの超人的な思考回路は決して嫌いじゃないけど、そのペースに俺を巻き込まないであげて!
「と、言うわけで俺とつき合おう、陽介」
「オッケー…って言うと思った?言わねーよ!なんで俺がお前とつき合うはめになるわけっ?」
「わかってないな、陽介。俺とつき合うと色々特典がついてくるぞ。昼には俺特製の手作り弁当。バイトのピンチヒッターが必要ならいつでも駆けつける。夜は俺の部屋で好きなだけくつろげる。なんなら泊まっていってもいいぞ」
「うっそれは魅力的だな…。け、けど!つき合うんだから当然それだけじゃ済まないんだろ…ッ」
「察しがいいな。そういうところも嫌いじゃない」
 サラサラで色素の薄いアッシュグレイの髪を揺らして月森が微笑む。普段クールで大人びたこいつが笑うと年相応に見えるからつい見とれてしまう。
「恋人っつったらキスしたりベタベタしたりとかすんだろ…ッ」
「ベタベタは普段から結構してると思うけど。まあ陽介が嫌って言うならそういう類はしない。したい時は必ずお伺いをたてる。それならどうだ?」
 目力の強い双眸に見つめられて思わず身体を引いた。親友で無二の相棒の頼みなら何でも力になってやりたい。だけどこんな頼みごとをされるとは夢にも思わなかった。仮に、仮にだ。こいつとつき合ってみたとしよう。その後、俺たちの関係にヒビが入ったりしないだろうか。相棒は俺にとってかけがえのない存在だ。一生もののつき合いにしたいと思っている。それが恋愛関係に発展などしたら途中でこじれて続かなくなったりしないだろうか。
「陽介……だめか?八十稲羽で今、俺が真剣なつき合いをしたいと思っているのは陽介、お前だけなんだ」
 その言葉の端が震えているのに気がついてしまった。頭脳明晰、運動神経ばつ群、リーダーシップも人望もあり、頼みごとも速やかに解決してみせる。そんな完璧超人だけど話してみるとフランクで自分を飾らない。ありのままを見せてくれるから俺も安心して自分をさらけ出せる。決して嫌いじゃないのだ。人間として月森という人間が好きだ。そうじゃなきゃこんな風に部屋に入り浸ったりしない。
 こいつも冗談で言ってるわけじゃないんだろう。本気で好きになれる人を探しているんだ。その本気に応えないんだとしたら失礼な気がする。
 何度か唸り声を上げた挙句、小声で答えた。
「……期間限定お試しってことでなら…。お前が転校するまでの間付き合ってみて、俺がナシって思ったら恋人関係はキッパリ解消してダチに戻る。それでどうだ?」
「陽介…ありがとう!」
 月森が嬉しさを隠しもせずハグしてきたので大慌てした。なぜか心臓がバクバクいってる。とんでもないことを自分で言ってしまった自覚はある。
「あ、もちろんお前もつき合ってみてやっぱ俺じゃ違うって思ったらすぐにでも言えよ。他に好きな子ができたとかもな。俺も無理だと思ったら期間中でも言うからさ。け、けど、お前の言ったとおり、キスとかそーいうのは了承を得てからな。わかったか、おい?」
「ああ、わかっている。お前の嫌がることもしない」
 身体を離し、月森が俺を見て微笑んで握手を求めてきた。
「じゃあこれから改めてよろしく、陽介」
 俺は躊躇いながらも、そろそろと手を伸ばした。禁断の領域に踏み出してしまった感は否めない。がっちりと握手されて、なんとも言えない気持ちになったのだった。



 そんなわけで俺たちの期間限定のおつき合いはスタートした。
 まあたぶんこいつの気が済むまで恋人ごっこをすればそのうち飽きるだろう。それに俺が嫌だと言えばキスとか恋人っぽいことは別にしなくていいのだ。それなら今までと大して変わらないだろう。
そう。その時は確かにそう思っていた。




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 俺たちは天気も良かったのでバイクでツーリングに来た。
「…海の見える公園とか憧れるシチュエーションだよな、とは言ったけど、海釣り公園って言った覚えはないぞ」
 恋人っぽいデートってなんだろうなって話になって、海の見える公園を推した。するとそれを聞いた月森が「それなら心当たりがある」と言って連れてきてくれたのがこの場所だ。その当の本人は気にした様子もなく釣り具の用意をしている。初めて来たけどカップルがいるはずもなく、真冬だからなのか人も少なくて、おじさん達が向こうの方で談笑しながら釣りをしているくらいだ。
「海が見える公園に違いないじゃないか。餌、釣り針につけてみる?」
 そう言って袋に入っている虫を俺に見せた。
「げっ!いつもこんなんつけてんの?俺、ちょっと触れねーわ」
「慣れれば大丈夫だよ。こうして」
 そう言って釣り針を俺に持たせて俺の手を月森の手で掴んで誘導してくる。あれ、なんか思ったより近くに月森の顔があって、背中に月森の体温を感じて、なんか緊張してきた、やばい…!
「イテッ」
 月森に触れられた指が思わず跳ねてしまい、釣り針が左手の親指に刺さってしまった。
「大丈夫か?血が出てる」
 そう言って釣り針を地面に置くと、月森が強引に俺の指を引き寄せた。なんだろうと思っている間に指を口に含まれてしまった。
「わっ、なっ、ちょ…!」
 月森の舌が俺の指を吸っている。これはアレだ、そう、医療行為だ。わかっていても生々しい舌の熱さとか感触が直に伝わってきて、顔がゆだってしまう。一瞬の出来事なのに、永遠みたいに長い時間に思われた。やがて俺が言葉も出せず困っているのに気がついて、ハッとしたように月森が指を離した。
「ごめん、つい…嫌だったか?」
「や、嫌っつーかびっくりしただけで…ってか俺、絆創膏持ってるし…」
「そうだったな…悪い。ちょっと冷静じゃなかった」
 謝ってそっぽ向いた月森の耳がほんのり赤い。もしかして照れてる?絆創膏を指に貼り終わると思わず月森の顔をのぞき込んだ。
「…なんだよ」
 やっぱり失敗したと言わんばかりに月森が口元を覆って頬を赤くしていた。俺を見て、苦々しい顔をして肩で俺の肩をどついてきた。
「うるさい」
「俺、なんも言ってないけど」
「その顔がうるさい」
「ちょ、なんか失礼なこと言われた気がすんだけど!」
 そう返すと、月森が機嫌を直したみたいで、ふっと頬をゆるめた。あ、今の顔、好きだな。
「…ありがとな。おかげで血が止まった」
 そう礼を言って笑いかけると、月森がまた顔を赤くして、微妙そうな顔をした。今までよりずっといろんな表情を見せてくれる。目を奪われる。
「照れるなんて可愛いとこあんじゃん、月森」
「見るな」
「いいじゃん。そういう月森も悪くないぜ」
「陽介のくせにむかつく。キスするぞ」
「わひゃひゃ、くすぐってー!」
 俺のわき腹をくすぐって、背中から月森が抱きついてきた。俺の腹のところで両手を組んで、暖を取るみたいに後ろから俺を抱きしめてきた。
「…キスしたい。いいか?」
 後ろから熱を帯びた声がして、思わず月森を振り返った。その眼差しも熱っぽくて真剣そのもので、本当にしたいんだと告げていた。
 そう気がついたら俺の心臓がバクバク言い始めて、なんて答えたらいいのかわかんなくて、口が金魚みたいにぱくぱくした。
「三秒以内に拒否しないとキスするからな。3、2、1…」
「ま、待って…!」
 月森の顔が近づいてくる。自分の心臓の音がうるさくて波の音が聞こえない。肩越しに迫ってくる月森の唇から目が離せない。否定も肯定もできず、あと数センチ、というところで怖くて目をぎゅっと瞑った。
しばらくするとさざ波の音が耳に入ってきて、目をゆっくりと開けた。月森は苦笑いして俺を見ていた。
「冗談だよ、陽介。無理強いはしないからそんなに強ばらないで」
 そう言って俺の頭に手を置いて髪をくしゃくしゃにした。月森は優しい。流されたかもしれない俺の気持ちをわかっていて我慢してくれた。胸が押しつぶされそうなった。月森が嫌なんじゃない。自分の気持ちがまだちゃんと定まってないから。そう伝えたくて隣に立って月森の手を取った。
「陽介…?」
 一緒にいたい。そう気持ちを込めて月森の長い指に自分の指を絡めた。月森の顔を見るのが怖くて、視線を海に向けたまま手をつないだ。すると、応えるようにぎゅっと握り返してくれて、その熱にほっとして顔を上げた。
月森を仰ぐと、見たこともないくらい優しい顔をしていた。その瞳に釘付けになった。喉がきゅうっと詰まって胸の中があたたかなもので満たされて息がうまくできない。










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「月森………」
 心に渦巻いてる自分でもわからないこの気持ちを月森に伝えられたらいいのに。
 俺がじっと見ると、月森にふいっと視線を反らされてしまった。耳が少し赤い。
「…なにか欲しいものがある?おかゆも作ってあるけど」
 そう言って立ち上がろうとする月森の制服の裾を掴んで引き留めた。
「あ…汗かいたから、背中!…背中拭いて」
「よう、すけ…?」
 月森が目を見開いて俺を見た。
 何か言われる前にロングTシャツをひと息に脱いだ。答えも待たず強引にタオルを持たせると、息をのんだ月森が俺の気持ちを測りかねるように動かない。
「なあ、はやく」
 背中を見せてそう急かすと、月森が手に持ったタオルを使って拭いてくれた。首筋から肩胛骨をたどり、ゆっくり下に降りていく。月森は今、どんな顔をして俺を見ているんだろう。俺の背中から腰や尻のラインが好きだと言っていた。ゾクゾク震えるのは熱のせいだけじゃないはずだ。月森の強い視線を感じて、皮膚の下でつま先から頭のてっぺんまで血が激しく巡っている。
「…もっと下も拭けよ」
 遠慮がちな触れ方がもどかしくて、スウェットの下を足から抜いた。下着のみになると、月森の唾を飲み込んだ音が部屋に響いた。




 


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