カエルの王子様サンプル
2014/06/10(Tue)20:51
入稿しました。
何度か校正したはずなのに、すでにミス発覚・・・
( 'ω' )و 三Θ)`Д゚)・;
(X╹◡╹)╮-=ニ= 三≡’,;’; 三X7s)`Д゚)・; アイタタタ
多少のミスは目をつぶっていただけるとありがたいです。
すでにとらのあなさんで予約が始まってます。→☆
A5/56p/600円(イベント価格)/R18
童話をモチーフにしたお話です。
サンプルを続きに上げておきますのでよろしければどうぞ。
それと夏コミ受かりました。ありがたや~
前回冬に落ちたときは最初そうでもなかったのに、後からボディブロウのようにじわじわ落ち込んだり悔しかったりしたので、やっぱ受かると嬉しいです。
夏コミの印刷所締切がめっちゃ早いので、今から頑張ります。
PQも始めました!
P4主人公で始めました。最初は時間優先でエンディングを迎えたいということでSAFETYです。
にも関わらず、すぐSP使い切ってしまうしけっこう戦闘が難しい。
色んなものを見つけたときのみんなの会話が楽しい^^
はやくP3メンバーとも合流したいよ~
シャドウの攻撃でカエルになってしまった陽介。
その晩を主人公の部屋で過ごすことになり、一緒に風呂に入ったり、ふとんに入ったりするうちに二人の気持ちは…
陽介視点の「カエルになった王子様」、主人公視点のその後の話「王子様と従者」の二編です。
シャドウの攻撃でカエルになってしまった陽介。
その晩を主人公の部屋で過ごすことになり、一緒に風呂に入ったり、ふとんに入ったりするうちに二人の気持ちは…
陽介視点の「カエルになった王子様」、主人公視点のその後の話「王子様と従者」の二編です。
不運ってのは続くものだ。
今日はバイトの日じゃなかった。が、テレビに入る集合時間までの間、ヘルプで入ったらこのざまだ。
「まことに申し訳ございません」
客のクレームを受け、深く頭を下げた。しかし内容はアイスが家に帰ったら溶けていたというもの。買った直後、すでに溶けてたのならともかく、家に帰ってからってのはなあ…。しかも冷凍物をお買い上げの場合、ドライアイスを使えるってのに、そのお客さんは面倒で使わなかったときた。そんでもってアイスの一つはすでに食べてしまったとのこと。
とはいえお客様は神様なので、言い返すことはできなかった。
チーフを呼んで、結局アイスを交換するという形で了承はしてくれた。返金には応じなかったチーフの手腕、すげーな。
そう思っていたら、チーフに一言言われた。
「ああいう場合は最初に謝っちゃうと、こっちの立場がよけい弱くなるから。まずは確認しますとか言って俺や店長を呼んで。上役の人に言われた方が納得するお客さんも正直いるからね」
すいませんと謝ると、なぜかチーフに苦笑いされた。
そしてそろそろ集合時間だからとバックヤードに入ったとたん、ため息が思わず出てしまった。
「ちょっと、花村」
そう声をかけてきたのが、いつも難題をおしつけてくるハチ高の先輩らふたりだったからだ。
「来月のシフト、どうなってんの」
ああ、またか。
「先輩らの希望のことはチーフには伝えてありますよ」
そう言うと、おだんごの先輩が「はあっ?」と声を荒げた。
「ぜんっぜん希望通りじゃないっつーの!ここ見なさいよ」
言われて突きつけられたシフト表を見た。
来月のうち2回日曜日に彼女たちが入っていた。
「俺に言われても…」
「あんたに頼んだんでしょうが!だったらあんた、責任もってこの日のシフトに入りなさいよ」
「ええっ?」
理不尽にも程がある。身勝手な「頼み」をつきつけられて、希望通りに行かなければ俺にその咎を負わせるとか。もう、ほんと、マジ勘弁してくれ。
けど、この人達に何か言うのは疲れる。なにか言ったりしてもよけい怒りをつのらせるだけだから。変わらないことに無駄な労力を割きたくない。
「…わかりました。けど、次はないんで。あと、シフトの希望とかあったら直接チーフに言ってください。バイトの俺がどうこうできるもんじゃないんで」
そんなヘルプの後にダンジョンに入ったのがいけなかったのかもしれない。
「疲れてるのか、陽介」
「え?」
りせのダンジョンの中で相棒にそう声をかけられてびっくりした。そんな素振りは見せてなかったと思うけど。一緒に探索してる天城と里中にも気づかれている様子はないし。
「なんか変に明るかったり、そうかと思えばため息出てるし。なんかあったのか?今日は素材集めだけだから、もし調子が悪いなら、これで切り上げるよ」
「…んー、やっぱ相棒には隠し事できないな。けど、大丈夫。ちゃっちゃと素材、集めちまおうぜ」
ニッと笑うと、相棒が真剣な顔で俺を見つめた。その曇りのないまなざしに俺の心はいつだって剥き出しにされてしまうんだ。
「…あとで、話、聞いてくれるか?」
「ああ、もちろんだ」
前髪で覆われた瞳をゆるりと細めた。相棒が俺のことわかってくれてると思うと力が湧いてくる。相棒ってやっぱすごいな、と言葉にはできず、ただ胸の中でこっそり感動した。
「注意して!近くにシャドウがいる!」
「え?」
周りを見回してみたが、シャドウらしき姿が見当たらない。相棒と里中、天城もシャドウの姿を見つけられず、きょろきょろしていた。りせの勘違いか?そう思ってクナイを下ろした瞬間だった。
「花村先輩、後ろ!」
「え?」
気がついたときには、シャドウの大きな舌に身体を捕えられた。
「陽介!」
「は、花村!」
「花村君!」
腕も含めて舌に巻きつかれてしまい、クナイを突きたてられない。
「カメレオンみたいに周囲の景色に擬態するヤツみたい!姿が見えなくなる前にやっちゃって!」
見たことのないカメレオンみたいそいつは、俺の方にぎょろりと目を向けた。すると、なにか棘が刺さったような痛みが身体中をかけぬけた。
「ぐっ!」
「陽介!」
その瞬間くらっとした。相棒の声がやけに遠くで聞こえる。なんとか意識を保ち、腕を力づくで引き寄せてそいつの舌にクナイを突き立てた。カメレオンシャドウはあわてて俺を突き飛ばした。
「うわああっ」
宙に放り出され、地面にたたきつけられた。呼吸が一瞬止まった。早く起き上がらないと、そう思ったけど思うように動けない。その間に相棒が剣を振りかざして相手を沈め、里中、天城とボコボコにしているうちに戦闘は終了した。
シャドウはふっとばされ、俺の足元に転がって動きを止めた。
ぼろぼろになったみじめな姿に俺は目が離せなくなってしまった。以前見た、車道で踏みつぶされたヒキガエルを連想した。頑張って生きていてもぺしゃんこに踏みつぶされてしまい、死体でさえ気味が悪いと言われるのだ。どこかの誰かみたいに。
すると、カメレオンの離れた両目と目が合った、様な気がした。倒したはずなのに。
一瞬意識を失いかけてた俺は「やったね~お疲れ!」というりせの声でハッと目が覚めた。
起きあがると、いつもより目線が低いことに気がついた。
「あれ?」
低いというかほとんど地面すれすれ。
おかしいなと思って手足をみると自分の肌が緑色をしていた。
「なんじゃこりゃ~~~~~!」
気がつくと俺はカエルになっていた。
ぺたぺたと全身をさわってみると、妙にしっとりしていて、形からするとたぶん人の顔くらいあるガマカエルだ。
「おつかれーってあれ、花村は?」
「そういえば見あたらないね」
天城と里中がきょろきょろと見回している。相棒がハッと気づいた様に言った。
「陽介…トイレタイムか?」
おーい、相棒?なに言っちゃってんの?ここにいるって。
「えっ花村、まさかダンジョン内でしてるんじゃないでしょうねっ」
「うそっ、やだ、私のダンジョンでも…?」
りせも通信で「やだー!花村先輩の変態!」なんて叫んでる。つーか、してねーよ!!ああ、けど、このツッコミが誰にも届いてないのか。すっげーもどかしいんですけど!
「いや…天城のダンジョンではしてないと思うけど。とにかく探してみよう」
相棒、聞こえないのか?おーい おーい!
「ん?」
俺の声に気づいてくれたのか、相棒がこちらを振り返った。
「や、やだっカエルっ!」
里中が俺を見つけるなり叫んだ。あからさまに嫌悪感をにじませて相棒の背中に隠れる始末。ひでっ!俺ってそんなに…じゃなかった。今おれはカエルなんだっけ。それにしても気味悪いって顔されるのはなんだかショックだ。
天城が扇を構えた。
「まさか、シャドウ…」
ちげーよっ!俺だって!生き物を生きたまま燃やさないで!慌てて相棒の後ろに隠れた。
「いや、怯えてるみたいだし、姿かたちはふつうのガマガエルにみえる。もしかして陽介が消えたことに関係してるのかもしれない」
つーか!俺なんだよ!
ぴょんぴょん跳ねて見せると、相棒は近くに落ちている服に気がついた。俺が今日着てた服などが散らばっている。
「これ、花村の服だよね。…もしかして花村がカエルになっちゃったとか……?」
さすが里中、野生のカンが冴えてる!
「それだったらバステの一種なのかな。回復できるかやってみる?」
天城に提案され、相棒は「頼む」とうなずいた。天城に回復スキルをかけられたり色々な道具を試してみたが、結局変化なし。
「変わらないね。やっぱり花村君じゃないのかな」
「えー…じゃあただのカエルってこと?」
俺、どうなっちゃったんだ…?不安に駆られ、思わず相棒を見上げた。
相棒は俺を見ながらしばし考えこみ、里中と天城の方をふりかえった。
「いったん入り口まで戻ってクマとりせと完二にも意見を聞いてみよう。陽介が消えた手がかりがこのカエルにあるのかもしれない」
「うん、いきなりカエルが現れたんだし。何か理由があるかもしれないね」
「ええっ…あ、あたしには近づけないでね。そのカエル」
相棒は俺の衣類やヘッドホンを拾い、おいで、と俺に手招きした。ぴょんぴょん跳ねながら近づくと、優しい眼差しで俺を見て、カエレールを使った。
まるでツネ吉とか河川敷の猫たちに接するような慈愛に満ちた目。こんな目で見られたら懐いてしまうのも頷ける。
けど。優しいけれど、俺を見るいつもの目とは違う。いつもはもっと遠慮なくて、くだけた感じで、どこか甘ったるい、俺のことを特別だって伝えてくれるようなまなざしなのに。
テレビのエントランスに戻り、クマとりせと完二と合流した。
「このコから陽介のニオイがするクマ」
相棒の手のひらに乗せられた俺をクマがクンクン嗅いでそう言った。
「このカエルが陽介って可能性はないか?」
相棒が問いかけるとクマは着ぐるみの両手を広げた。
「陽介のニオイがするってこと以外はなーんもわからんクマ!」
あっけらかんと言うんじゃねーよ!俺の一大事だってのに!
俺だ!と声を出すとゲコゲコとなさけない声がでるばかり。クマならカエル語もわかるんじゃないかと期待したけど、クマは相棒にまとわりつくばかりで、カエルの言葉はちっともわからない様子だ。
りせもヒミコを呼び出して、サーチしながらうーんと唸っている。
「さっきのシャドウの気配で覆われてる感じがする。それと中には花村先輩の気配も。ただのカエルじゃないことは確かだよ。けど、このカエルが花村先輩かっていうのは私もわかんない。二つの気配が混ざっちゃってる感じ」
「なんだよ、結局わかんないんじゃねーか」
「なによ、バ完二!あんただって何にもわかんないくせに!」
「おまっ、名前にバをつけんじゃねーよ!」
りせと完二が言い合いを始めると、みな沈黙してしまった。
「花村、どうしちゃったんだろ…」
「わからない。でもこのカエルと花村君が姿を消したことは関係あると思う。花村君の服が置いてあったし」
相棒がうなずいた。
「いったんテレビの外に出て様子を見よう」
そう言うと、里中が不安げに自分の腕を抱き寄せた。
「でも、大丈夫かな。実はまだダンジョンにいて、一人でピンチに遭ってるってことは…」
「りせ、ダンジョンの中に陽介はいたか?」
りせはヒミコを使って集中し、しばらくするとかぶりを振った。
「ううん。ダンジョンの中に花村先輩の気配は感じない」
相棒がうなずいた。
「たとえりせがサーチできない場所にいるんだとしてもカエレールも持っているはずだし。やわな奴じゃない。きっと陽介なら大丈夫だ」
その強いまなざしに里中と天城はそうだね、と頷いた。
相棒の信頼が伝わってきてじんと胸にこみあげた。
まあ胸っつってもカエルの胸なんだけど。
そんなわけでテレビの外に出た。テレビから出れば元に戻るっていう期待もしてたんだけど、変わらずガマガエルのままだった。仕方がないので、俺の両親にはクマから、勉強をするため俺は相棒の部屋に泊まることになったと伝えてもらうことになり。俺(カエル)は相棒の家に預けられることとなって一同解散した。
相棒が堂島さんちの引き戸をあけると、菜々子ちゃんが「おかえりなさい」と居間から顔を出してくれた。
菜々子ちゃんを見て、相棒はふんわりとほぐれるような笑顔を見せた。ダンジョンで気を張っていたのかもしれない。いつもリーダーってみんなの命を預かる重責を担わせちまってるもんな。菜々子ちゃんを見て、帰ってきたって実感を得ているんだろう。
「ただいま、菜々子。堂島さんは?」
相棒が尋ねると、菜々子ちゃんは視線を落とした。
「今日もお仕事で帰れないって」
「そうか…」
相棒は菜々子ちゃんの頭をなでた。菜々子ちゃんはくすぐったそうに、けれど嬉しそうに目をつぶった。ああ、このふたりは家族になったんだな。なんだか俺までうれしい気持ちになる。ゴールデンウィークの頃はまだお互いぎこちない感じだったのにな。今ではどこから見てもすっかり兄と妹だ。
菜々子ちゃんが相棒の手のひらにいる俺に気がついた。
「カエルさん?」
「ああ。事情があって、ちょっとの間、俺の部屋にいることになった」
笑顔で菜々子ちゃんが俺を見て言った。
「かわいいね。いらっしゃい」
可愛い菜々子ちゃんに「かわいい」と言われて微妙なんだけど。でも里中みたいにあからさまな嫌悪感を示されるよりはずっとずっと嬉しい。
階段を上がって、自分の部屋に入った相棒は俺をテーブルの上においた。
「しばらくの間、よろしくな」
こちらこそ。そう言ったら(鳴いたら)ふわりと相棒が笑った。うお、イケメンの笑顔は威力ある。ちっとドキッとしちまったぜ。
「さて、風呂に入ってくるが・・・カエルだから水を浴びた方がいいのかな。一緒に入ろうか?」
ゲコッ!?
思わずカエル語で慌てる俺に、勘違いした相棒は「大丈夫、お湯じゃなくて水を桶に入れるから」と言い、着替えの用意をして、俺を風呂場に連れていった。
脱衣所でシャツを脱いでいる相棒の衣擦れの音がやけに耳に入ってくる。
俺……ここにいてもいいんだろうか?
男同士なのに、なんだかイケナイことをしてる気分になってきた。
裸のつきあいで二人で温泉に行ったこともあったけど、公衆浴場と家の風呂は別物だ。プライベートな場所に、相棒とふたりで入るってなんだかそれって……。
相棒の後ろ姿を薄目で見上げる。ちょうどすべてを脱ぎ終えていた。
いつもダンジョンの先頭を行く頼もしい背中。そして腰、臀部、太股は程よく筋肉がついていて、どこも無駄のないフォルムで、きれいだなとつい見とれてしまった。
相棒は脱衣所から風呂場に入り、腰かけに身体をあずけ、脱衣所に取り残された俺を手招きした。
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「陽介…お前ほどかけがえのない存在は他にないよ」
「うん。お前の気持ちも、一緒にいてやっと気づけたよ。俺も、やっぱお前と肩を並べられるから人間の方がいい。こうやって好きなだけ話せて、抱きしめられて、お前の力になれる方がずっといいよ」
抱きしめられて、応えるように抱きしめかえした。その感触で、いつの間にか自分が元の姿に戻っていることに気が付いた。
つーか、忘れてたけど、俺、今…
「あ、あいぼー。その、ちっと…っ」
「うん?……っ!」
顔を上げた相棒が固まった。
そう、俺、今全裸なんですよねー……。
「お、俺の服、どこだっけ…っ」
「あ、ああ、明日の朝洗濯しようと思って脱衣所に置いてあるから、お、俺のを出す」
二人で体を起こした。なぜだか相棒がそこから動かない。
「…服を出す前に、その、もう一回、いい?さっきのは陽介の意志とは関係なしのだったから…」
言われて、顔が熱くなる。それってもう一回、キス、したいってことだよな。大きく顔を上下に振って頷くと、相棒が嬉しそうに笑み浮かべた。
相棒の手が俺の肩にそっと触れ、顔が近づいてきた。相棒の顔が恥ずかしくて見れない。目をつぶると、口元にちゅっと小さな音がした。顔を上げてみると、相棒も顔が赤くて、なんだか可愛い。俺からも唇にキスした。
「陽介…っ」
更にキスが深まっていく。舌を絡められ、合間に「ずっとこうしたかった」と告白されて、胸の中で何かが嵐みたいに暴れてズキズキした。この胸のうちも全部見せて相棒に伝えられたらいいのに。
相棒の首に腕をまわして、体を密着させると、お互いの心臓がバクバク言ってるのがわかって、二人で苦笑いした。
「どうする?このまま寝ちまう?」
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