「クローバーはもういらない」サンプル
2014/10/05(Sun)14:28
<追記>
本文サンプルが抜けてました Σ(´・ω・`)ナンテコッタイ
つづきに追加しました。
鳴上君の片思いシリーズ5冊目。
(あらすじ)
修学旅行先のホテルで桂木と落ち合うことになった陽介。悠を振った手前、今さら告白できないと桂木に吐露し、「いっそエッ チでもしちまえばすっきりするのかな」という発言を発端に、事態は急展開する。
桂木×陽介描写も有るのでご注意ください(メインは主花です)。
前作を読ん でなくても流れを追えばわかると思います。
A5/40p/R18/オンデマ印刷/400円(イベント価格)
とらさんで予約はじまってます→http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/24/49/040030244906.html
時間があったら小冊子でも…と思ったのですが、中耳炎でもらった薬が効きすぎてお腹がピーピーでじっと座ってられません(><);
イベントまでに体調を万全にしていこうと思います。
花村が出ていくと、鳴上君が口を開いた。
「桂木君、だったよね。初めまして、俺は」
「鳴上悠君、だろ。陽介から電話でよく話を聞いてるよ。花村の様子で、君が鳴上君だってすぐにわかった」
「陽介が俺のことを?」
鳴上君は意外そうに目を丸くした。
どうやら花村と俺がどんな話をしていたか知らないらしい。
これはチャンスかもしれない。
知らず知らずのうちに口元が笑みを作っていた。
「花村から相談を受けていたんだ」
「ああ、そういえば陽介が前に言ってたな…なにか友達に相談してるって。桂木君のことだったのか」
「鳴上君のこと、相談されてたんだ。花村、告られたけど、どうしようって迷惑がってたよ。友達としてはいい奴だから断りづらいってね」
「………」
鳴上君は口を閉ざした。
前向きな性格だと聞いていたけど、花村に振られたショックがでかいんだろう。
俺の噓を鵜呑みにしている様子だ。口を開きかけて、また閉じた。
そこで更に俺は畳みかけた。
「聞いているかもしれないけど、俺と花村、つき合うことにしたんだ」
「…え…?」
鳴上君は目を見開いた。
「ああ、花村、やっぱり言ってなかったか。
まあ君に気を使って言わなかったんだろうな。
いつか時を見計らって君に打ち明けるだろうから、その時にはよろしくな」
「………」
彼の顔からいっさいの表情が消え失せた。
「相談を受けているうちに、相談相手の方が気になっちゃうって、本当にあるんだな。君、今はただの友達なんだろう?祝福してくれよ」
「………」
「あ、花村、そろそろ戻ってくると思うけど。
気を利かせてくれると嬉しいな」
にっこり笑いかけても反応はまったくなかった。
部屋に戻ると、なぜかニコニコ笑っている桂木と、深刻そうな顔つきの悠がベッドに座っていて、一体なんの話をしていたのか、さっきより空気が重たい。
まさか、俺の気持ちを桂木が言っちゃったわけ、ないよな?
「…えーと、桂木は飲み物、どれがいい?」
「コーヒーをもらう。サンキュな」
悠を見ると、まだ表情が固かった。
「悠はどっちが…つか、どうした?なんか顔色悪いぞ」
近寄ると、悠は俺をじっと見上げてきた。
そうやって見つめられるのも久しぶりで、照れを顔に出さないようにするのが精一杯だった。
「…いや。大丈夫。桂木君と長話でもあるだろう。先に風呂入ってもいいか?」
「ん?ああ、もちろんだぜ。気を使わせちまって悪いな。じゃあ飲み物、冷蔵庫に入れとくな。好きな方飲んでくれ」
「ありがとう。桂木君、良かったらゆっくりしてってくれ」
悠は風呂の支度を整えると、バスルームに入っていった。
それを目で追っていた桂木が急に立ち上がった。
「なあ。このスイッチってもしかして」
そう言いながら、バスルーム側の壁にあるスイッチを押した。
すると、その上にかかっていたロールスクリーンが巻き上がって、向こう側の視界が開けた。悠が服を脱いでいる様子がくっきり見えた。
「えっ?なに、これ…っ」
「さすが、元ラブホ…。マジックミラーだろ。ほら、鳴上君、こっちの様子に気づいてない」
たしかに、悠はこちら側を向いているのに、俺達の視線には気づく様子もなく、シャツを脱ぎ、ベルトを外している。
ダンジョンで鍛えた上半身は程良く筋肉がついていて、逞しい。見てはいけないのに、悠に見とれたまま視線を外すことができない。
「やっぱり今でも好き、なのか?」
声をかけられて我に返った。見入ってたことが急に恥ずかしくなって、シーツに視線を落として頷いた。
「…うん」
「男なのに?」
思わず苦笑いした。
悠は男、なんだよなあ。完二のダンジョンみたいなのは本当に苦手なのに。
なぜだろう、悠とのことはそれとは全然別物だって思う。
男とか女とか関係なしに普通に恋愛してる感じがする。
最初は友達としての親愛だって思ってた。
いつしか悠にされることは何だって嬉しいことに気づいた。
クローバーの冠を作ってくれたことも。
子どもの頃の話を打ち明けてくれたことも。
キスされても、全然嫌じゃなかった。
それをきっかけに自分の気持ちに気づいた。
涙が止まらなくて胸を貸してもらったことも、殴り合いをしたことも、全部かけがえのない大事な思い出だ。
思い出しただけで胸が苦しくなって、想いであふれだしそうだ。
「好き。すげー好き。
悠の方はとっくに俺のことは吹っ切って、他の人と前に進んでるってのにな」
「…それ、本人にちゃんと聞いた?」
俺は首を横に振った。
「んなこと、怖くて聞けねーよ。俺のこと、もう好きじゃないなんて決定的なことを聞いちまったら、俺…。でも、聞かなくたってわかるんだ。悠が仲良くしてる子、かわいい子や綺麗な子が多いし、大人の女性とも色々つきあいがあるみたいなんだ。振られたらそっちに行くのが自然だろ?それに、男同士よりそっちの方がよっぽど悠にとって未来があって幸せなことだろ。俺の気持ちより、悠が笑って過ごせる方がずっとずっと大事だ」
「花村…」
心配するように肩を抱かれて、「わりい」と暗くなってしまったことを謝った。
「俺も悠で妄想するのはやめにしたいんだけどな。いっそのことエッチでもしちまえばスッキリするのかな、なーんて」
笑って冗談まじりにそう言うと、桂木が俺を見た。
こちらをまじまじと見つめてくる。
「あ、生々しい話だったよな。わりい」
「そうじゃなくて。本気でそう思ってる?」
「え?えっと・・・おう」
頷くと、桂木は何か考えているのか、手を口元に当てている。
「桂木?」
「じゃあ、試してみようか」
「え?ちょ、おい」
いきなり、両手で俺の肩をつかんだと思ったら、上半身をベッドに押し倒された。桂木が真剣なまなざしでこちらを見ているのが何だかすごく居たたまれない。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
突然、陽介が俺の手を引いた。強く引っ張られて、ベッドの上に乗り上げた。顔を上げると、すぐ傍で陽介が膝をついて俺を見つめていた。頬が上気していて、ひたむきな目に見つめられた。
「俺…俺…悠のことが好きだ」
「え…」
陽介の言葉を理解できず、その表情から読みとろうとした。その必死な様子に、冗談とか嘘は見あたらない。
「ちょっと待って、じゃあなんで、今こんな…」
あられもない格好を桂木君に晒しているんだ。大体、桂木君とはどういう関係なのか。というか、「俺を好き」というのはそもそも恋愛的な意味で合っているんだろうか。疑問が次から次へと沸いてくる。
陽介は俺の手をとって、自分の胸に当てさせた。ドクンドクンと脈の速さが尋常でなくて、興奮が俺にまで伝染してしまう。言葉通り、受け取っていいんだろうか。期待してしまいそうになる。
「お前のこと、フッておいて今更だよな。けど、あの時のお前とのキス、本当は嫌じゃなかった。つか、すげー気持ち良かった…」
顔が綺麗な朱色に染まって、伏せられたまつげの一本一本に、震える唇に目が奪われた。陽介は乾いた笑いを漏らし、自嘲気味に言った。
「お前のキスを思いだしながら、ひとりで抜いてた。ごめん、こんなの気持ち悪いよな」
予想外の言葉に、とっさに否定の言葉が出てこない。
「お前はとっくに他の人のもんなのにさ。だから、嬉しかったけど、サービスでも『奪う』とか言わなくていいぜ。んで、俺、お前とのこと、きっちりけじめつけて前に進みたいからさ。その、嫌じゃなかったら…一回だけ、セ、セックスしよ」
「……………え?」
陽介の熱っぽい瞳に、頭の中でチリ、と何かの回路が燃えた。
「俺に、思い出をください」
++
本文サンプルが抜けてました Σ(´・ω・`)ナンテコッタイ
つづきに追加しました。
鳴上君の片思いシリーズ5冊目。
(あらすじ)
修学旅行先のホテルで桂木と落ち合うことになった陽介。悠を振った手前、今さら告白できないと桂木に吐露し、「いっそエッ チでもしちまえばすっきりするのかな」という発言を発端に、事態は急展開する。
桂木×陽介描写も有るのでご注意ください(メインは主花です)。
前作を読ん でなくても流れを追えばわかると思います。
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時間があったら小冊子でも…と思ったのですが、中耳炎でもらった薬が効きすぎてお腹がピーピーでじっと座ってられません(><);
イベントまでに体調を万全にしていこうと思います。
花村が出ていくと、鳴上君が口を開いた。
「桂木君、だったよね。初めまして、俺は」
「鳴上悠君、だろ。陽介から電話でよく話を聞いてるよ。花村の様子で、君が鳴上君だってすぐにわかった」
「陽介が俺のことを?」
鳴上君は意外そうに目を丸くした。
どうやら花村と俺がどんな話をしていたか知らないらしい。
これはチャンスかもしれない。
知らず知らずのうちに口元が笑みを作っていた。
「花村から相談を受けていたんだ」
「ああ、そういえば陽介が前に言ってたな…なにか友達に相談してるって。桂木君のことだったのか」
「鳴上君のこと、相談されてたんだ。花村、告られたけど、どうしようって迷惑がってたよ。友達としてはいい奴だから断りづらいってね」
「………」
鳴上君は口を閉ざした。
前向きな性格だと聞いていたけど、花村に振られたショックがでかいんだろう。
俺の噓を鵜呑みにしている様子だ。口を開きかけて、また閉じた。
そこで更に俺は畳みかけた。
「聞いているかもしれないけど、俺と花村、つき合うことにしたんだ」
「…え…?」
鳴上君は目を見開いた。
「ああ、花村、やっぱり言ってなかったか。
まあ君に気を使って言わなかったんだろうな。
いつか時を見計らって君に打ち明けるだろうから、その時にはよろしくな」
「………」
彼の顔からいっさいの表情が消え失せた。
「相談を受けているうちに、相談相手の方が気になっちゃうって、本当にあるんだな。君、今はただの友達なんだろう?祝福してくれよ」
「………」
「あ、花村、そろそろ戻ってくると思うけど。
気を利かせてくれると嬉しいな」
にっこり笑いかけても反応はまったくなかった。
部屋に戻ると、なぜかニコニコ笑っている桂木と、深刻そうな顔つきの悠がベッドに座っていて、一体なんの話をしていたのか、さっきより空気が重たい。
まさか、俺の気持ちを桂木が言っちゃったわけ、ないよな?
「…えーと、桂木は飲み物、どれがいい?」
「コーヒーをもらう。サンキュな」
悠を見ると、まだ表情が固かった。
「悠はどっちが…つか、どうした?なんか顔色悪いぞ」
近寄ると、悠は俺をじっと見上げてきた。
そうやって見つめられるのも久しぶりで、照れを顔に出さないようにするのが精一杯だった。
「…いや。大丈夫。桂木君と長話でもあるだろう。先に風呂入ってもいいか?」
「ん?ああ、もちろんだぜ。気を使わせちまって悪いな。じゃあ飲み物、冷蔵庫に入れとくな。好きな方飲んでくれ」
「ありがとう。桂木君、良かったらゆっくりしてってくれ」
悠は風呂の支度を整えると、バスルームに入っていった。
それを目で追っていた桂木が急に立ち上がった。
「なあ。このスイッチってもしかして」
そう言いながら、バスルーム側の壁にあるスイッチを押した。
すると、その上にかかっていたロールスクリーンが巻き上がって、向こう側の視界が開けた。悠が服を脱いでいる様子がくっきり見えた。
「えっ?なに、これ…っ」
「さすが、元ラブホ…。マジックミラーだろ。ほら、鳴上君、こっちの様子に気づいてない」
たしかに、悠はこちら側を向いているのに、俺達の視線には気づく様子もなく、シャツを脱ぎ、ベルトを外している。
ダンジョンで鍛えた上半身は程良く筋肉がついていて、逞しい。見てはいけないのに、悠に見とれたまま視線を外すことができない。
「やっぱり今でも好き、なのか?」
声をかけられて我に返った。見入ってたことが急に恥ずかしくなって、シーツに視線を落として頷いた。
「…うん」
「男なのに?」
思わず苦笑いした。
悠は男、なんだよなあ。完二のダンジョンみたいなのは本当に苦手なのに。
なぜだろう、悠とのことはそれとは全然別物だって思う。
男とか女とか関係なしに普通に恋愛してる感じがする。
最初は友達としての親愛だって思ってた。
いつしか悠にされることは何だって嬉しいことに気づいた。
クローバーの冠を作ってくれたことも。
子どもの頃の話を打ち明けてくれたことも。
キスされても、全然嫌じゃなかった。
それをきっかけに自分の気持ちに気づいた。
涙が止まらなくて胸を貸してもらったことも、殴り合いをしたことも、全部かけがえのない大事な思い出だ。
思い出しただけで胸が苦しくなって、想いであふれだしそうだ。
「好き。すげー好き。
悠の方はとっくに俺のことは吹っ切って、他の人と前に進んでるってのにな」
「…それ、本人にちゃんと聞いた?」
俺は首を横に振った。
「んなこと、怖くて聞けねーよ。俺のこと、もう好きじゃないなんて決定的なことを聞いちまったら、俺…。でも、聞かなくたってわかるんだ。悠が仲良くしてる子、かわいい子や綺麗な子が多いし、大人の女性とも色々つきあいがあるみたいなんだ。振られたらそっちに行くのが自然だろ?それに、男同士よりそっちの方がよっぽど悠にとって未来があって幸せなことだろ。俺の気持ちより、悠が笑って過ごせる方がずっとずっと大事だ」
「花村…」
心配するように肩を抱かれて、「わりい」と暗くなってしまったことを謝った。
「俺も悠で妄想するのはやめにしたいんだけどな。いっそのことエッチでもしちまえばスッキリするのかな、なーんて」
笑って冗談まじりにそう言うと、桂木が俺を見た。
こちらをまじまじと見つめてくる。
「あ、生々しい話だったよな。わりい」
「そうじゃなくて。本気でそう思ってる?」
「え?えっと・・・おう」
頷くと、桂木は何か考えているのか、手を口元に当てている。
「桂木?」
「じゃあ、試してみようか」
「え?ちょ、おい」
いきなり、両手で俺の肩をつかんだと思ったら、上半身をベッドに押し倒された。桂木が真剣なまなざしでこちらを見ているのが何だかすごく居たたまれない。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
突然、陽介が俺の手を引いた。強く引っ張られて、ベッドの上に乗り上げた。顔を上げると、すぐ傍で陽介が膝をついて俺を見つめていた。頬が上気していて、ひたむきな目に見つめられた。
「俺…俺…悠のことが好きだ」
「え…」
陽介の言葉を理解できず、その表情から読みとろうとした。その必死な様子に、冗談とか嘘は見あたらない。
「ちょっと待って、じゃあなんで、今こんな…」
あられもない格好を桂木君に晒しているんだ。大体、桂木君とはどういう関係なのか。というか、「俺を好き」というのはそもそも恋愛的な意味で合っているんだろうか。疑問が次から次へと沸いてくる。
陽介は俺の手をとって、自分の胸に当てさせた。ドクンドクンと脈の速さが尋常でなくて、興奮が俺にまで伝染してしまう。言葉通り、受け取っていいんだろうか。期待してしまいそうになる。
「お前のこと、フッておいて今更だよな。けど、あの時のお前とのキス、本当は嫌じゃなかった。つか、すげー気持ち良かった…」
顔が綺麗な朱色に染まって、伏せられたまつげの一本一本に、震える唇に目が奪われた。陽介は乾いた笑いを漏らし、自嘲気味に言った。
「お前のキスを思いだしながら、ひとりで抜いてた。ごめん、こんなの気持ち悪いよな」
予想外の言葉に、とっさに否定の言葉が出てこない。
「お前はとっくに他の人のもんなのにさ。だから、嬉しかったけど、サービスでも『奪う』とか言わなくていいぜ。んで、俺、お前とのこと、きっちりけじめつけて前に進みたいからさ。その、嫌じゃなかったら…一回だけ、セ、セックスしよ」
「……………え?」
陽介の熱っぽい瞳に、頭の中でチリ、と何かの回路が燃えた。
「俺に、思い出をください」
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