SCC25新刊サンプル「神様にお願い!」
2016/04/19(Tue)21:32
ブログとピクシブで掲載していた神様主人公×大学生陽介のパラレル小説を加筆修正し、その後のふたりを二編書き下ろししました。今までの掲載分は健全だったのに書き下ろしにエロが入ったため成人指定の本となりました・・・w
A5/88p/1000円(イベント価格)/R18
本文サンプルは続きからどうぞ。
今までの分は直しが大幅に入ったため削除させていただきました。
閲覧いただいたみなさまどうも有難うございました!
委託通販をとらさんに扱っていただいてます。→★
(今回とらさん分が少ないためすでに予約が停止しているようですが、まだ上限には達してないんでイベント後入荷したら再開すると思われます)
新刊のノベルティとしてイベント限定で絵馬ミニストラップをおつけします。(一部につき一個/OPP袋に入ってます)不要の方はお気軽にお声かけください。
よろしくお願いします~
ひとしきり料理を食べ終えてご馳走様でした、と手を合わせた。
さすがに食べっぱなしは申し訳なかったので皿洗いをやらせてもらった。
片づけが終わると、那岐が奥から顔の大きさほどの日本酒の壷とお猪口を二つ持ってきた。
「陽介、酒は飲める?」
一応成人してるし、いろんなサークルに出入りしてるからつき合いで飲むことは多い。俺は頷いた。
「あんま強くはないけど、ちっとなら」
「じゃあ一杯だけ晩酌につき合ってくれ」
那岐は縁側のガラス戸を開けてそこに座ると、俺を手招きした。
隣に座ると、四月の夜の風はまだ少し冷たい。庭のどこかで虫がリンリンと鳴いている。情緒ある庭はむせかえるような草や花の匂いで満ちている。片足を上げて酒を注ぐ那岐の姿はとても様になっていて、いつまでも見ていたくなる。
「はい、神の世界の酒だから陽介には少し強いかもしれない。最初は舐めるようにして味わってみて」
「サンキュ」
酒の壺を見ると、「神殺し」という不穏なラベルがついている。いいの、それ?とか思いつつ、那岐に言われた通り舐めて味を確かめた。
「…なにこれ」
ふんわりと花のようないい香りがする。舐めると、まるで花の蜜をエキスにしたみたいだ。日本酒にもこんなのがあるんだ。うまい。これはヤバい。
「神の世界の蓮の花で作られた酒なんだ。どう?旨いだろ」
頷いて、思わずくいっと一気に口に含むと、那岐におちょこを奪われた。
「陽介、そんなに一気に煽ると危ない…!」
「へっ?なんで?だいじょう…」
と言いかけて、後から一気にアルコールのようなものが喉を焼いた。熱い。焼けるように身体が熱い。
「う…お…っ」
「だから言ったのに」
やがてそれが身体中をめぐって、脳みそまで伝わると、ふわふわと気持ちよくなってきた。天女が池の周りで楽器を鳴らしながら踊っている風景が目に浮かぶようだ。
「すげー、コレ、美味いな…っ。なあなあ、もう一杯」
「…これ以上は身体に毒だ。水を持ってくる。ちょっと待ってて」
「行くなよ。淋しいだろ…」
立ち上がろうとする那岐の着物の裾を掴んだ。もっと傍にいてほしい。そういう想いをこめて那岐を引き寄せ、無理矢理腰を抱きしめて膝枕してもらった。
「へへー。那岐の膝枕。気持ちいー」
「陽介…」
なぜか那岐は困ったように俺を見下ろした。こんな角度から誰かを見るなんて久しぶりだ。俺、淋しいのかな。那岐に何してほしいんだろう。よくわからない。けど、那岐とはもっと触れ合いたい。
「なんでそんな顔すんの?俺はお前と酒を飲めて嬉しいのに。膝枕、気持ちーのに」
「酔っぱらい…」
「いいじゃん酔っぱらったって。那岐ももっと飲めよ。んで、酔っぱらっちまえよ。俺と一緒にさ」
「はいはい」
那岐が俺のことを子どもをあやすみたいに髪をなでるので、口をとがらせた。
「んだよ。神様だからって偉そうにすんらー。俺らって、俺らってなあ、夢があんだぞ」
呂律がまわらなくなってきてうまくしゃべれない。言葉では伝えられないので、那岐の顔に手を伸ばして柔らかそうな頬に触れた。想像どおりさらさらとした吸いつくような肌で気持ちいい。
「俺はー、いつか自分のカフェを開く夢があるんら、バカにすんら!」
そう言うと、「そうか」と那岐が頷いてくれた。それが肯定されたようで嬉しくて、ふわふわと天にでも昇りそうな気持ちになって、那岐の腰に抱きついた。
「こら、陽介…」
「那岐、好き…」
もっと那岐と話したい。那岐の抱えてるもんとか俺にも見せてほしい。俺に何かできるなら那岐の力になりたい……。
けれど気持ちが言葉になる前に、夢心地のまま真っ白な世界へと沈んでしまった。
朧月
月が空を照らす頃、陽介はすっかり寝落ちしてしまった。ちょっと酒を肴に陽介と話がしたかっただけなのに。この状況を誰かに見られたらちゃんと説明しても言い訳っぽくなるかもしれない。
もしかしたら自分の中にあるやましい心がそう思わせるのかもしれない。陽介の火照った頬とか、乱れた服の裾から覗く細い腰とか、そういうのに当てられている。へにゃりと笑ったままの寝顔も可愛い。
人間は自分にとって可愛い子供のような、孫のような存在だ。女性ですらそんな対象として見たことはなかった。ましてや自分に男色の気はなかったと思うのだが。陽介はそういう境界線をとびこえさせるような何かを秘めている。
もっと、深く知りたい…。
「ちわー!」
不意に威勢のいい声がかかって、思わず肩が揺れてしまった。
「こんばんは、那岐先輩、いらっしゃいますか?」
「あ…」
玄関から声をかけられ、困り果てた。陽介の身体を下ろそうにも、腰を抱く腕が外れず、身動きできない。
「灯りがついてますし、もしかしたら手が離せないのかもしれませんね」
「入っちまえばいいだろ。知らない仲ってわけじゃねえし。那岐先輩、おじゃまします!」
声が聞こえてきて、引き戸が開く音がしたのでますます慌ててしまう。
「陽介、起きて」
陽介の肩を揺すって起こそうとしたら、陽介は「うーん…」と言いながら、枕でも探すみたいに俺の股間に頬をこすりつけ、やがて満足するようにしてそこに顔をうずめた。
「う…よ、陽介…ッ」
陽介の熱い息が股間にかかって、金縛りに遭ったように動けない。
「あぁ?先輩、いるんなら返事くらいしてくださいよ…って」
「先輩…」
直斗と完二がこちらを見たまま固まっている。直斗が急に顔を赤くして、慌ててくるりと背を見せた。
「…あ、あのっお取り込み中でしたね。す、すみません、了承も得ずに勝手に入ってしまって!その、また、出直してきますから!巽君!行きましょう!」
「直斗、落ち着け!ち、違うんだ!待ってくれ!」
俺はありったけの会話術を使って精一杯説明をした。陽介はアムリタを取り込んだ人間であること、足立さんに命を狙われたのでうちでしばらく匿うことになったこと。そして酒に酔ってそのまま寝てしまったのだと説明した。
正確に伝わったかわからないけど、直斗は早とちりしたことだけはわかってくれたようだ。ハンカチで汗をぬぐっている。
「すいません、勝手に変な想像をして…。そういう分野に疎いもので、失礼しました…」
そう言って、恥ずかしそうにうつむいた。
完二に手伝ってもらって陽介を居間の畳の上に運んだ。座布団を枕にして俺の綿入れを掛けて寝させると、陽介は猫のように丸くなった。
二人の前に茶を出すと、完二が「頼まれていた手直しが出来たんで持ってきました」と寝間着を手渡してくれたので礼を言った。
「ありがとう。ただほつれを直してもらう予定だったのに、急に裾上げまで頼んでしまって悪かったな」
「こんくらい十分もかからないっすから。つーか先輩、背でも縮んだんですか?前は元の寸でぴったりだったと思うんですけど」
首を横に振り、眠っている陽介を見た。
「これは陽介用の寝間着に仕立て直してもらったんだ。どれくらい滞在するかわからないけど、直してもらっている最中だからちょうどいいかなって思って」
茶を飲むと直斗も落ち着いてきたようで、お辞儀をしてきた。
「…本当に早とちりしてすいませんでした。彼がくだんのアムリタを寄生させてる人間なんですね」
「ああ。知識と医術を司る直斗の率直な意見を聞かせてほしい」
直斗は頷いた。
「はい。僕もアムリタが花になって、しかも人間を寄生相手にするというのを聞いたことはありません。興味深いですね。是非解剖してみたい……」
キラキラした目で陽介を見ているので慌てて「それはちょっと…」と制した。直斗は我に返ったように咳をして、話を続けた。
「寄生植物は寄生相手を生かさず殺さずに養分を吸い続けます。なので体力は奪われると思いますがよっぽどのことが無ければアムリタそのものが彼の命の奪う危険はありません」
「うん」
その点については自分の予想していた通りだったので、内心ほっとした。
直斗は話を続けた。
「アムリタは神や悪魔の世界でさえも希有な存在ですから、詳しい者は少ないと思います。僕自身も祖父から話を聞いただけで実際お目にかかったことはありませんし。でも、花という形をとっているわけですから、基本的には植物を取り除くという線でいけば間違いないと思います。僕の知り合いで植物に詳しい風花さんという方にコンタクトをとっています。寄生植物を取り除く方法がわかってから開腹手術をして取り除くのが彼にとってもアムリタのためにも一番だと思います」
「そうか、世話をかけるが頼む」
「いえ、先輩の頼みとあらばお安いご用です」
直斗と完二は教育係として神としての倫理感から仕事の細部までを徹底的にたたき込んだ職場の後輩だ。可愛い後輩だし、気の置けない仲間で信頼もしている。それが伝わるのか二人も俺を先輩として慕ってくれている。
「直斗、あんまり気張るんじゃねーぞ。この前の仕事も………」
「巽君こそあの時の判断はどうかと思います………」
二人はお互いの仕事について議論を熱く交わし始めた。
ライバル意識を燃やして切磋琢磨するのはとてもいいことだと思う。神として、自分の得意分野に磨きをかけていこう、新しいものを生み出そうという気概が頼もしい。天界で新しい分野が拓けるたびに、雛形の地上でも新しい発見が成されたりするものだ。そうやって成長し、目を輝かせていく子どもたちを見守っていくのが自分の役目でもある。
二人を玄関まで見送ってから陽介を起こした。寝ているのか起きているのかわからない陽介は、肩を貸すとふらついた足取りで私室に入った。そのまま寝てしまわないよう声をかけながら服を脱がせ、完二に直してもらった寝間着を着せた。布団を敷くとその上に転がって大の字になって寝息を立て始めた。
(陽介のことも…)
気持ちよさそうに眠っている陽介を見ていると、胸がざわめく。
人ひとりを特別扱いしてはならない。それが神の掟だ。なぜなら神が人間に過ぎた干渉をしてしまうと人間の定められた運命を大きく狂わせてしまうからだ。それは波紋となり周りにもやがて大きな影響を与えてしまう。たとえば陽介の伴侶となる人物が変わってしまうということも充分ありうる。そうなると陽介の子孫の運命にも大きな影響を与えてしまう。
(随分干渉してしまったけれど、これは陽介の願いをかなえるためでもあり、天界の物を人間の世界から遠ざけるためで。これ以上心を寄せてはいけない………)
友達になりたいと思ったのもほんの気まぐれにすぎない。
毎日神社に来るのに決して自分のことを祈らない不思議な人間。はじめはそういう印象だった。実際に触れてみると人と神の垣根を越えて陽介は同じ目線で話してくれる。痛みを取り除いた時、はじめて人から視線を合わせて礼を言われた。それが新鮮だっただけで、それ以上ではないはずだ。そう言い聞かせるように胸を押さえた。
陽介には陽介の人生がある。俺が関わることで運命の輪が狂ってしまってはいけない。だからアムリタを取り除いた後で陽介の記憶から俺たちやアムリタに関する記憶を消去するつもりでいる。
(俺のことは忘れて生きていくのが陽介のために一番良いんだ……)
陽介に掛け布団をかけてやると、安心しきったような表情を浮かべた。
自分からは触れられず、ただ月を遠くから眺めるみたいに陽介を見つめていた。
(ここから書き下ろし分サンプル)
ソイツは目のない黒い蛇みたいな形に変化した。那岐が前に言っていたことを思い出した。
『あやかしには自分の姿を変化させられるものもいる。陽介を油断させるような姿で現れるかもしれないから、きちんと姿を見て。アムリタを狙うモノは陽介が思っているより多いから…』
猫だと思って油断した。しかも結界が張られている家の敷地内に招いちまった。
「くそ、こうなったら」
何とかして追い払わなければ、と思ったのだが、蛇のようなくねった動きに俺は次の行動を予測できず、あっという間に足を絡め取られて、尻餅をついてしまった。
「ってェっ」
うねうねと気持ち悪い動きをしながらソイツは俺の手を縛り上げるように絡まってきた。手には何かヌメッとした液体がべったりついて、気持ち悪さと焦りで退けることができない。
「な…」
那岐、そう呼びそうになって思いとどまった。
自分でどうにかしたい。那岐のことをつい頼っちまう自分から卒業したい。那岐から教わったことを思い出して自分で対処するんだ。
精神を集中して、相手を吹き飛ばすイメージ…。
けれど集中する間にも蛇が服の隙間に入ってきた。
「ちょ、ふあああ…っ!?」
無遠慮に入り込んできたソレはお腹の辺りを這い回ってきて、気持ち悪さに背筋がぞぞぞっとした。焦ってしまって力が入らない。
「…ンむゥッ?!」
蛇は腹から首に這い上がり、唐突に口の中に入りこんできた。何度もえずいて、吐き気がこみ上げてくる。喉の奥まで入ってこようとするから、苦しくて顔を仰け反らせると、いっそう奥まで入ってきて、息がうまくできない。歯で噛んでやろうとしてもヌメヌメとした粘液を出す表面は滑ってしまう。
自然に身体を地面に擦りつけるような体勢になっていく。必死に腕を伸ばして引き離そうとした。
すると一本だったソイツは二股に、三股に、と先端が分裂して、先端から出した透明の液体で服を溶かし、身体の中に侵入してこようとして、思わず目を見開いた。
「ふぅぅ…ッ!」
デニムとボクサーパンツを溶かして、皮膚に突き刺さるような痛みが走る。下手に抵抗すると身体をもっと溶かされそうな気がして、身体が強ばった。
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No.183|オフ活動|Comment(0)|Trackback