SS「初めての夜」
2017/11/20(Mon)19:08
ツイッターの「主花版深夜の創作60分一本勝負」に参加させていただきました。
お題「ピロートーク」
本文は続きからクリックしてどうぞ。
息を整え、おおまかに陽介と自分の身を清めると、陽介の横に身体を沿わせてシーツに沈めた。
「はぁ……はー……ほんと、もうギブ……」
汗と涙でぐちゃぐちゃになった目元に触れると、「ん」と目を瞑って委ねてくれるその信頼が愛しい。指でぬぐって、髪も整えて綺麗にすると、潤んだ瞳と目が合う。思わず衝動がまたしてもこみ上げそうになるのを理性でどうにか抑えた。
触れられる距離にいられるだけで幸せだったはずなのに。あの頃の自分がひどく遠く感じる。
陽介と心が通じ合って、叫びたいくらい幸せで、更にこんな風にぜんぶを受け止めてくれるなんて。
胸がいっぱいに満たされて。思わず涙が出そうになった。
「なーに考えてんの?」
おかしそうに笑っている陽介の唇に優しく口づけた。
「すごく幸せだなあって」
「ん…俺も」
「身体、きつくない?」
そう尋ねると、「んー…すっげー疲れたし、奥、ジンジンすっけど…なんかそういうのもさ」と言いかけて、なぜか陽介は顔を赤くした。
「なに?」
顔を傾けて問うと、「や」と身体を向こうに向けてしまうから、陽介の背中に張り付いて抱き寄せる。
「なんだ? 陽介」
耳元で優しく問い直すと、観念したように陽介は呟いた。
「だから…そういうのも、なんかお前とエッチしたんだなあって実感できて、嬉しいっつーか、ジタバタしちまうっつーか…。あー恥ずいからもう勘弁したげて!」
耳まで真っ赤にしている様が本当にもう、どうにかなりそうなくらい愛おしい。
熟れた果実みたいな耳にちゅっとキスすると、困ったような顔でこちらをチラ見する。
「もうこの空気、すっげーいたたまれないんだけど…。寝ても良い?」
「ああ」
向こうを向いたまま陽介はしばらく黙った。顔は見えないけど、まだ寝息が聞こえないから起きてはいるんだろう。
「陽介、腹はすかないか? ちょっと休んだらなにか夜食を作るぞ」
すると陽介がこっちに身体を反転させた。
「すいた! ラーメン食いたい!」
ふだん主張をしてこない陽介が遠慮なしに甘えてくれるのが嬉しい。
「じゃあ野菜たっぷりの煮込みラーメンにしようかな」
そう提案すると、白い歯を見せて「うっわ、楽しみ!」と笑ってくれる。俺のこと、いっぱい甘やかしてもらった分、俺も陽介をめいっぱい甘やかしたい。
「他にリクエストは?」
そう尋ねると、ちょっとだけ間があって、じいっと双眸が見上げてくる。
「………じゃあ」
そう言って、陽介がもぞもぞと身体を寄せて、俺の胸に額を押しつけてくる。
「ちょっとだけ、このままで居させて」
恋人の可愛らしいわがままに胸がじんと震えた。
「喜んで好きなだけ」
そう答えて陽介の背中を抱きしめると、「あったかくて気持ちいー…」と眠そうなふわっとした声がした。
様子を伺っていると、すぐに寝息が聞こえはじめた。どうやら眠りについたようだ。
俺も少し休もうか。名残を惜しんで何度も柔らかな髪を指で梳いた。
お題「ピロートーク」
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息を整え、おおまかに陽介と自分の身を清めると、陽介の横に身体を沿わせてシーツに沈めた。
「はぁ……はー……ほんと、もうギブ……」
汗と涙でぐちゃぐちゃになった目元に触れると、「ん」と目を瞑って委ねてくれるその信頼が愛しい。指でぬぐって、髪も整えて綺麗にすると、潤んだ瞳と目が合う。思わず衝動がまたしてもこみ上げそうになるのを理性でどうにか抑えた。
触れられる距離にいられるだけで幸せだったはずなのに。あの頃の自分がひどく遠く感じる。
陽介と心が通じ合って、叫びたいくらい幸せで、更にこんな風にぜんぶを受け止めてくれるなんて。
胸がいっぱいに満たされて。思わず涙が出そうになった。
「なーに考えてんの?」
おかしそうに笑っている陽介の唇に優しく口づけた。
「すごく幸せだなあって」
「ん…俺も」
「身体、きつくない?」
そう尋ねると、「んー…すっげー疲れたし、奥、ジンジンすっけど…なんかそういうのもさ」と言いかけて、なぜか陽介は顔を赤くした。
「なに?」
顔を傾けて問うと、「や」と身体を向こうに向けてしまうから、陽介の背中に張り付いて抱き寄せる。
「なんだ? 陽介」
耳元で優しく問い直すと、観念したように陽介は呟いた。
「だから…そういうのも、なんかお前とエッチしたんだなあって実感できて、嬉しいっつーか、ジタバタしちまうっつーか…。あー恥ずいからもう勘弁したげて!」
耳まで真っ赤にしている様が本当にもう、どうにかなりそうなくらい愛おしい。
熟れた果実みたいな耳にちゅっとキスすると、困ったような顔でこちらをチラ見する。
「もうこの空気、すっげーいたたまれないんだけど…。寝ても良い?」
「ああ」
向こうを向いたまま陽介はしばらく黙った。顔は見えないけど、まだ寝息が聞こえないから起きてはいるんだろう。
「陽介、腹はすかないか? ちょっと休んだらなにか夜食を作るぞ」
すると陽介がこっちに身体を反転させた。
「すいた! ラーメン食いたい!」
ふだん主張をしてこない陽介が遠慮なしに甘えてくれるのが嬉しい。
「じゃあ野菜たっぷりの煮込みラーメンにしようかな」
そう提案すると、白い歯を見せて「うっわ、楽しみ!」と笑ってくれる。俺のこと、いっぱい甘やかしてもらった分、俺も陽介をめいっぱい甘やかしたい。
「他にリクエストは?」
そう尋ねると、ちょっとだけ間があって、じいっと双眸が見上げてくる。
「………じゃあ」
そう言って、陽介がもぞもぞと身体を寄せて、俺の胸に額を押しつけてくる。
「ちょっとだけ、このままで居させて」
恋人の可愛らしいわがままに胸がじんと震えた。
「喜んで好きなだけ」
そう答えて陽介の背中を抱きしめると、「あったかくて気持ちいー…」と眠そうなふわっとした声がした。
様子を伺っていると、すぐに寝息が聞こえはじめた。どうやら眠りについたようだ。
俺も少し休もうか。名残を惜しんで何度も柔らかな髪を指で梳いた。
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No.249|主花SS|Comment(0)|Trackback