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ラフレシ庵+ダブルメガネ


SS「花に酔う」

2017/04/11(Tue)21:38

ツイッターの「主花版深夜の創作60分一本勝負」に参加させていただきました。
お題「花見」

本文はつづきからどうぞ~




ひらひらと薄紅色の花びらが舞っている。川を流れる花びらが隅っこで滞ってピンクのじゅうたんみたいになっているのもなんだか風流だ。

「綺麗だなあ、相棒」
「ああ」

相棒の膝枕は筋肉質でずいぶん弾力がある感触だ。見上げると、相変わらず整った顔立ちがいつもよりほんのりピンクに上気している。まだ慣れないアルコールのせいか、いつもより何だか色っぽい。
春休み、八十稲羽に帰省するとそれに合わせて桜が見事に咲いた。きっと八十稲羽を守護するお天気お姉さんのおかげだな。

俺の親父に勧められるまま飲んで、騒いで、ようやく解放されてふたりっきりになれた。まだ春の風はちょっぴり冷たいけど、火照った顔にはちょうど良い。

「綺麗だな、陽介」
「それ、さっき俺が言った」
「違うよ」

ゆっくりと相棒の顔が近づいてきて、唇と唇が触れ合った。

「陽介が綺麗だなって」
「ばっか。それ言うなら…」
お前の方って言いかけてやめた。なんだかバカップルだな、俺ら。
「続きは?陽介」
ふふふ、と楽しそうに笑う恋人の前髪からのぞく長いまつげに、横に引いた唇の輪郭に、のぞく白い歯に。胸が騒ぐ。
「…やっぱ酔ってるだろ」
「うん。嬉しくてフワフワしてる。綺麗な花に酔ってる」

まあいっか。
俺の親父ともずっと約束していた酒を酌み交わすことができたのだし。
相棒と笑って過ごせる春ならなんにも言うことはない。

「俺も楽しいよ、相棒」
「ああ」

髪を優しく撫でられると気持ちよくて眠ってしまいそうだ。目を開けて寝るのをこらえていると、相棒の頭の上にひとひら舞い降りて、髪に優しい色を添えた。




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