悠君のシリーズ6冊目(単品でも読めます)
恋人になった二人は海に行ったり温泉に行ったり二人の時間を楽しむ。だが平和な時間は長くは続かなくて…
年末にアップした「平和への祈り」を修正したものも含みます。
A5/48p/600円(イベント価格)/
R18サンプルを続きにいれたので、もしよかったらご覧ください。
入稿できました~。よっぽどのことがない限りイベント販売大丈夫です^^
サンプルを作りながらも誤字発見してがっくりしてます…締切直前の疲れ切った目でチェックしても漏れがあるのは当たり前だよなあと反省しきりです。
間違いを見つけても皆さまの心の目で読んでいただければ幸いです。
あと表紙の線画は久しぶりにつけペンで描きました。
これも夜中に描いてたら指に思い切りGペンを刺して流血してるのに、ボーっとしてしまってなんで痛いのか気付きませんでしたww
お品書きを作成したらイベントの情報も載せます。
サークル名「ラフレシ庵」
スペースナンバー あ30
です。よろしくお願いします。
[0回]
泳いで戻った俺達は、海から上がってハンカチで身体を拭ったがそれでは足らず、下着をタオル代わりに使った。 服を着たが寒くてどうにも震えが止まらない。天気は良かったが、海に入るには少しだけ時期が遅かったようだ。 このままバイクで帰ると風邪をひきそうなので、とりあえず近くの温泉に行って暖まることにした。 点在する温泉浴場の中で一番近いところに入った。 入浴料を払って浴場に入ると、内湯が二種類と露天風呂もある広い浴場なのに、温泉施設がこの辺りに多いからなのか、自分達の他は洗い場におじさん一人と、露天におじいさん一人しか見当たらない。 足を伸ばしてゆっくり浸かれそうだ。 レトロな水色のタイルを横目に眺めながら、鏡の前に置いてある腰かけに座った。 身体と髪についた塩分を石鹸やシャンプーで洗い流し、二人で競い合うように急いで内湯に浸かると、俺も陽介も暖かさに思わず息をもらした。 冷えきっていた足と手の指先がじんわりと暖かくなっていく。「ふー、あったまる。ったくこんな時期に海で泳ぐとは思わなかったぜ。お前って、たまにとんでもないことすんな」 くっくっと笑いをかみ殺して言われるのが何だか心外だった。「ゴミ置き場にダイブしたり、買って早々バイクを破壊される陽介に言われたくないなあ」「それは好きでやったわけじゃないっつーの!」 いつものキレのあるツッコミに心がほっこりとした。 海を泳いだり思い切り叫んだことで何かが吹っ切れた気がする。自分の心が軽くなっているのを感じた。「事件、必ず解決しような」「ん?おう」 とまどう陽介の手の上に自分の手のひらを重ねた。 きっと陽介なら俺の話もきちんと受け止めてくれる。陽介の心の強さを信じた。「ごめん、心配させて。陽介は事件が解決したと思ったから、小西先輩のこと吹っ切って、俺とつき合ってくれたのかなって思って。だから、直斗のことで事件が終わってなかったって知って、ちょっと動揺していた。考えても仕方のないことなのにな」 陽介はわずかに目を見開くと、湯に視線を落とし、やがて顔を上げると手を強く握り返してくれた。 陽介は呟くように言った。「俺、現実の面倒なことを置き去りにして、テレビの世界にはまるのはやめたから。生きられなかった先輩の分までちゃんと前を向いて生きてくんだ。悠を好きになったのも、自分が生きてる証拠だから。先輩のことはたぶん一生忘れないと思う。けど、今俺が一緒に歩いていきたいって思ってるのは…お前だから」 そう言って、静かに笑う陽介が綺麗でかっこよくて、まぶしく思えた。「うん。俺への気持ちを疑ってたわけじゃないんだ。……でも、陽介は優しいから。もし小西先輩のためにも、事件の間、恋人関係を保留にしたいって言うんなら…」 すると陽介は言葉を遮るように、湯を手で掬って俺に飛ばしてきた。胸にかかった湯がぽたぽたと落ちていく。「陽介?」 陽介はぽつりと呟くように言った。「俺、優しくなんかねーよ」「え?」 陽介は「だって」と重ねていた手に視線を落とした。「…だって、お前のこと好きって奴らを押しのけて俺のもんにしちまったし…優しくなんかねえよ。大体、こうやって触れられる距離にいて、お前は我慢できるのかよ…っ」 不意に強い眼差しで見上げられて、思わず鼓動が速まった。「お互い好きだってわかってて、つき合い始めなのに、手を繋がない、キスもしない、他にも色々しないなんて、お前はできんの?」「そ…れは」 陽介は拗ねたような口調で言った。「俺は無理。自分ひとりじゃどうにもできないぐらい好きだったから、玉砕覚悟でお前に想いを打ち明けたのに。何にもしないとか、ぜってー無理」「陽介…」 陽介の想いに胸がじんと震えた。「海に入って思ったんだけど、お前の傍にいると海の中にいるみたいだな」「海?」 陽介は「うん」と頷いて、繋いでない側の手で湯をかき分けて波を作った。「一度自分の気持ちに気づいちまったら、海の波みたいに自分でそれを抑えたりコントロールできるようなものじゃないんだよ。自分の気持ちに振り回されるし、悠に触れられると心臓バクバクしちまうし、すっげー疲れる。けど、好きになっちまったんだから、もうどうしようもないよなあ」 達観したように苦笑いされて、胸が甘く疼いた。ひとりで不安になっていたけれど、陽介も自分も結局同じなのかもしれない。重ねていた手のひらがいっそう熱くなったように感じる。 陽介は指を絡めて、手を繋ぐと、湯の中で二人分の手を振った。「だから、変な気遣いすんなって。お前がしたいように、そんで俺がしたいようにすればいいじゃん。小西先輩だってきっと天国で言ってるぜ。『花ちゃんに操を立てられてもウザい』ってさ」 冗談めかして笑う陽介に胸を打たれ、言葉が出てこない。 陽介の心に確かに小西先輩は存在する。それは陽介を形作るための大事な欠片で。陽介はそれを胸に抱いて生きていくのだろう。そして俺の隣を一緒に歩いてくれている。「お前が八十稲羽にいられる時間、少ないんだからさ。ちゃんと傍にいてくれよ。あ、もちろん八十稲羽にいる間限定のつき合いって意味じゃないからな。俺、こう見えてけっこう重たいから覚悟しとけよ」「ああ。有り難う……陽介」 小西先輩への想いごと、陽介の全部を愛せるようになりたい。すべてを包み込むだけの強さが欲しい。心からそう思った。 ゆっくりと湯で暖まってから、人がいない脱衣所で衣服を身につけていると、先に着替え終わった陽介はそわそわと落ち着かない様子を見せた。「どうした、陽介。トイレならあっちだぞ」「ちげーよっ!つか、お前はどうしてんな落ち着いてられんの?お前だって、履いてねーだろうが」 指摘されてああ、と納得した。海から上がったときにタオル代わりに使ったボクサーパンツは、ドライヤーで乾かしてもやはり湿っていて履くことができなかった。なので、俺たちはあきらめて素肌の上からボトムスを履いている。陽介はそれが落ち着かないらしい。「何も着けてないのもすがすがしくて良いな」「オカン級の寛容さを発揮する所、ちげーだろっ!……つか、なんかあって、うっかり勃っちまったらどうすんだよ…っ」「ああ、そうか」 陽介は股間に手を当てて、恥ずかしそうに俯いている。なんだかスイッチが入ってしまいそうな光景だ。連鎖的に海に入ったときや、湯に浸かっているときの裸体が目の奥でフラッシュバックした。普段日にさらされてない部分は、白くて、やけに眩しく感じた。 そう振り返ると、自分の下半身にずしりとした重みを感じた。「勃った」「…は?……ええっ!」 言葉の意味を理解した陽介は俺の股間に注目し、とたんに青ざめた。拳を上下に振り、せわしなく右や左を向いている。「ど、ど、どーすんだよっ」「ちょっと、トイレに行って抜いてくる」 トイレに行こうとして、ふと陽介を振り返った。心細そうな表情で立ちすくんでいるのを見ると、いっそう身体が昂ぶってしまう。戻ってその細い手首を掴んで引き寄せると、耳元に声を吹き込んだ。「陽介もおいで」 そう誘うと、声色でその意味を悟ったらしい陽介は頬から耳元まで一気に朱に染め上げた。目を左右に泳がせ、やがて俺に向けた瞳は濡れていた。腰を抱いて促しても抵抗せずついてきてくれた。 脱衣所に人がいないことをいいことに、トイレに二人で入った。PR