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ラフレシ庵+ダブルメガネ


今年も一年お世話になりました

2014/12/31(Wed)22:35

今年も一年お世話になりました。
主花目線でゲームブログを始め、その後去年漠ちゃんとオフ活動を始めて、今年からはソロでの活動だったので、色々模索しながら書いていた気がします。
去年は主に漫画を描いていたけど、執筆のスピードがイベントに追い付かず、結局小説で書いてましたね。小話を漫画で描いて、感想を絵で描いて、それ以外は小説っていう方が自分には向いてるみたいです。
来年の活動もそんな感じでいきたいと思っています。

皆さんも来年がいい一年となりますように。
心からお祈り申し上げます。

続きにSSをUPしときます。
「クローバーはもういらない」の続きです。
修学旅行直後からのお話。単品でも読めます。





 帰りの電車に揺られ、車窓を眺めながら修学旅行の思い出を振り返っていた。
 ふと車内を見渡すと、疲れが出たのかほとんどの者が眠っていた。
 目の前にいる里中と天城も同様だ。お互いに顔をくっつけあって、あどけない顔をして眠っている。思わず笑みがこぼれる風景だ。
 電車に乗ると、四月に八十稲羽に来た頃の自分を思い出す。あの頃の自分は、初めての地に対する期待と、うまくやっていけるだろうかという不安を抱いていた。
 里中や天城、そして陽介が声をかけてくれて、テレビの世界を知ってからは、彼らと戦友になって共に励まし合いながら事件に立ち向かっていくようになって、いつの間にか自分は仲間達のリーダーという意識になっていた。
 隣に座っている陽介も、頑張って目を覚まそうとしてはいているものの、幾度も舟を漕いでいる。窓に頭をぶつけたと思ったら、今度はこちら側に顔を傾け、しまいには前に倒れそうになり。見ていられなくて、陽介の肩を引き寄せて、自分に寄り添わせた。
「・・・ん」
 陽介は寝心地のいい場所を見つけて安堵したのか、頬を肩に擦りつけて、静かな寝息をたてて再び眠りに落ちた。
(無理させちゃったかな)




 はまぐりに宿泊した日にずっと好きだった陽介と結ばれた。
 最初、陽介が自分のことを想ってくれたとは気づかなかった。なにしろ自分は陽介に一度振られていたのだから。むしろ迷惑に思っているかもしれないと思い、振られてからはこちらから陽介に好意を示すことは迷惑かもしれないと控えていたのだが、それを陽介が勘違いして受け止めてしまい、他に気持ちが移ってしまい俺に恋人がいるのだと誤解していた。そこに桂木君という陽介の友達が介入してきて、よけいにこじれそうになったけれど、陽介が身体で俺を誘ってくれたことをきっかけにして、話し合いの末、互いが両想いだということに気づくことができた。

 男同士の性行為は初めてで、陽介のあられもない姿や声に当てられたし、両想いになれたことに感極まって夢中になってしまった。丁寧な前戯とはほど遠く、陽介に負担をかけてしまったように思う。それでも陽介は俺の気持ちごと全部受け止めてくれた。
 次の日は次の日で、クラブのVIPルームという初めての場所に一同のテンションが上がり、王様ゲームで異様に盛り上がってしまった。自分も王様に二度なったが、自分の指名した番号の主はりせと千枝だった。ホテルの部屋に帰ってから、陽介は不機嫌さを隠さず、唇を尖らせてた。
「女子とイチャイチャできてラッキーだったな、相棒」
 その言葉にも棘とげしさを感じて、俺は愛されてるのを実感した。
 ベッドに腰掛けている陽介の隣に座って言った。
「指名した相手に言ったこと、陽介にしたいこととか、して欲しいことだった。陽介を指名したつもりだったのにな」
 そう言うと、眉を寄せていた陽介は途端に目を見開いて、ぱっと顔を背けた。表情がわからないが、耳が赤くなっている。
 視線を反らしたまま陽介は言った。
「……俺、男だぜ?楽しいか、それ」
「陽介とだから楽しいんだろ」
「女の子達とベタベタして楽しそうだったくせに」
「陽介がすごい顔してこっちを見てるから、嫉妬してくれてるんだって嬉しくなって、つい顔が緩んだ。ごめんな」
 肩を抱き寄せて謝ると、陽介はゆっくりこちらを向いた。まだ眉を寄せていたが、瞳はどこか熱っぽい。
「ま、場は盛り上がったからいいんじゃね?悠がモテるのは最初から知ってるし、俺はクジ運がねーから最初からそういうオイシイのは諦めてたし。・・・けど」
「けど?」
 ハニーブラウンの瞳を揺らした。
「…俺もゲームって建前で、お前と皆の前でも堂々とイチャイチャしたかった…」
 その言葉に一瞬で煽られた。
「陽介…!」
「のわっ!」
 陽介の頭を引き寄せて、髪に、頬に、鼻に、そして耳にキスを落とした。陽介はびっくりしていたが、それを拒むことはしなかった。むしろ照れていて、どうしたらいいか困って固まっているようだった。
「陽介」
 手を広げて陽介を誘った。
「えっと…?」
 陽介は何を求められているかうっすらわかっている様だが、困ったように固まっている。
「俺の膝に座って、陽介」
「王様ゲームは終わりましたよ、悠サン…」
「王様じゃなくても、俺は陽介の恋人、だろう?」
 首を傾けて促すと、陽介は「う…っ」と声をつまらせ顔を真っ赤にした。
「俺も陽介とイチャイチャしたいな」
 畳みかけると、愛しい恋人は顔を手で覆いながらくぐもった声を出した。
「…お前ってそんなんだっけ。なんかもっとクールな感じじゃなかったっけ。もうなんか心臓がバクバク言って苦しい」
 そのときの俺は満面の笑みだったんじゃないかと思う。
 最後の一言がとどめになって、陽介は陥落した。
「晴れて両想いになれたんだ。少しくらい浮かれたっていいだろう」



 それから陽介は顔を真っ赤にしながらも俺のお願いを聞き入れてくれた。膝に乗ってもらったり、肩車をしたり、膝枕をしてもらったりした。
 さすがに前日致したばかりだったので、連日の行為で身体目当てと思われるのも心外だったし、陽介の身体に負担をかけるような真似は控えたが、他愛ない話をして、夜が更けるまでふたりきりの時間を楽しんだのだった。






 回想しながら隣を見た。口を薄く開きながら安心しきった顔で眠っている陽介が愛しい。
 その手をとって、自分の指と陽介の細い指とを絡めて手をつないだ。すると、眠っているのにも関わらず、口元にふにゃりと笑みを浮かべながら手のひらを閉じたり開いたりして応えてくれた。


 この幸せな時間がいつまでも続いてほしい。そう願わずにはいられなかった。




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No.116|主花SSComment(0)Trackback

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