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ラフレシ庵+ダブルメガネ


アナコン3新刊サンプル「ただ愛されたかった」

2016/06/13(Mon)20:55



陽介が性的暴力に遭っている話。誰にも話せずただひたすら現実を耐える陽介だったが、悠と出会い、絆を深めていくうちにすべてを打ち明ける決意をする。そして事態は急変し…
※モブ姦描写有、陽介視点のためぼかした感じです。最終的には主花ハッピーエンドです。ストーリー・コミュネタバレ捏造ご注意。

  A5/44p/400円(イベント価格)/R18

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本文サンプルは↓の続きからどうぞ。



◆主人公(鳴上悠)×花村陽介

◆モブ姦描写注意

◆ストーリーやコミュのネタバレ・捏造注意

◆R18




 生きてきた過程、なんて言うと大げさだけど、これまでの道のりをたどると、俺が相棒のことを好きになってしまうのは空気を吸うのと同じくらい自然なことだった。
「お前のことが好きだ」
 震える声でそう告白すると、身体を起こした相棒は目を見開いて俺を見ていた。
 そんなにびっくりすることかな。俺が今、こうして何気ない時間を笑って過ごせているのは相棒のおかげなんだから。






 中学生の頃、両親は共働きで夜もいないことが多かったし、俺は思春期の性を持て余していた。だから親がいない時間帯に友達を呼んでみんなで無修正DVDの鑑賞会をしたり、お宝を回し読みするのは中学生としては当たり前の行為だった。だけど親からしたら目に余ったのかもしれない。やがてお目付け役代わりに家庭教師を雇うようになった。
そんな経緯で大学生の家庭教師の男にこんな質問をするのは俺にとってごく自然なことだった。
「先生って彼女いる?エッチしたことある?」
 その問いかけをソイツはどんな風に受け止めたのだろう。今でもよくわからない。
 たとえば俺が設問に対する回答を適当に埋めただとか、家には俺とソイツのふたりしかいなかっただとか、沈黙の時間が耐えられなかったとか原因ならいくつでも思い浮かんだ。
「陽介君、エッチに興味ある?…教えてあげようか」
 俺の質問に対し、喉がカラカラの声でそう言われた。そしてベッドに引っぱられ、押し倒されたのだけは覚えている。後はところどころ覚えていない。頭が真っ白になった。
終わった後の状況からジーンズを下着ごとを下ろされて、なし崩しに後ろから挿れられたんだと思う。
 手で押しのけようとした。もっと全力で抵抗すれば良かったんだろうか。ただ、興奮を抑えきれない声で名前を呼ばれるのだけは嬉しかった。好きとか言われたわけじゃない。言葉はなかったけれど、俺が特別だからこんなことをするんだと思えたのだ。別にソイツが好きだったわけじゃない。だけど誰かの「特別」になりたかった。だからされるがまま、怖いのと好奇心が頭の中でグルグルしたまますべてを受け入れた。

「親にも誰にも絶対に言っちゃいけないよ。いいね?」





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 そんな時、小西先輩に出会って、今の状況にうんざりしている俺に「親は親、キミはキミだよ」という言葉をかけてくれた。小西先輩にとってはなんてことない一言だったのかもしれない。だけど俺の胸の内はすごく軽くなったんだ。この人が俺の「特別」になるかもしれない。そんな期待を抱いた。初めて八十稲羽の街が好きになれそうだと思った。


 そんな矢先だった。
「ねえ、キミってあの花村陽介君?」
 放課後、学校の廊下で後ろから男に声をかけられた。「あの」とはつまり「ジュネスの店長の息子」という意味かと思った。
 自虐じみた笑いを浮かべた後「なに?」と振り返ると、その男は予測していた怒りでなく、冷たい眼差しでもなく、なぜか興奮した眼差しで鼻息を荒くして言った。
「あの投稿写真、すっげーエロいよ。淫乱っぽくてたまんねー。僕もヤりたい」
「は?」
 頭が真っ白になって何を言われているのかわからなかった。だけどそいつは俺がしらばっくれてると思ったのだろうか、ケイタイの画面を俺に見せつけた。
「これ、キミだろう?髪型とか雰囲気変わってるけど顔見ればわかるし。ネットに実名を晒すとかキミ、ほんと淫乱だよね」
 思わずその画面を手に引き寄せた。
 それはホモ系の出会い系投稿サイト。
 ソイツとシてる時の足を開けるだけ開いている写真、そして複数の男たちに囲まれて顔精された時の写真付きで、携帯番号と一緒に自己紹介文が掲載されていた。
『俺、花村陽介、みんなに無理やり犯されてイきまくっちゃう変態DK。おちんぽミルク顔にたっぷりぶっかけて♥』
 たしかに写メを撮られた覚えはある。だけど警察に残らず押収されたはずじゃないのか?
「な、に、これ……っなんなんだよ…?」
 頭の片隅では理解していた。それを誰が投稿したのか。何の目的で投稿したのか。だけど信じたくなかった。こんなことが現実だとは思いたくなかった。
「あ、ちょっと待ってよ、今日がダメなら連絡先くらい教えてよ、この番号、繋がんないんだもん。ねえ、ねえったら…」
 後ろからついてくる男を振り払って俺は走って逃げた。


 家に速攻で帰ってパソコンで男が見せた掲示板を探し、サイトの管理人に削除申請をした。検索をかけると他の掲示板にも掲載されていたので慌ててそちらも削除申請を出した。掲載されている電話番号は以前のものだから大丈夫だろう。だけど顔と実名をさらされていて、実際俺をこの写真だとわかっている奴が八十稲羽にいる以上、そこから噂が広まってしまうのは止められそうもない。
「なんで…また、こんな…」
 どこまでも俺を追いつめるんだ。俺がなにしたって言うんだ。投げやりになりそうな気持ちで髪をかきむしった。とにかく今後どうするかを考えよう。
 警察に相談しようか。だけどまだ実害がないのに取り合ってくれるだろうか。それにまた過去の事情を一から説明しないといけないのは心底辛かった。
「ジュネスに…親父たちに迷惑をかけるのだけは絶対ダメだ…」
 親に相談することもできたのに、ひとりでなんとかしようと思った。なんとかできると過信していた。
 バカな俺は噂が出回らないようにそいつの口を封じることを決めた。

「一回きりだから。満足したら絶対誰にもしゃべるなよ。もししゃべったらお前が男のケツ掘って喜んでるホモ野郎だって言い触らすからな」





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 立ち上がって帰ろうとすると、擦りむいた手のひらが傷んで思わずもう片方の手で抑えた。
「陽介、まだ絆創膏を持っているか?」
「ん?ああ」
 ポケットから出して相棒に渡すと、相棒はそれを傷口に貼ってくれた。
「これでよし」
 貼った絆創膏の上から暖かな手のひらをかざされると、何だかくすぐったい気持ちになった。
「あーなんつーか…お前、手加減ねーからほんと痛いっつの」
「お互い様だろ」
 そう笑ってから、相棒は不意に真面目な顔になった。
「陽介、なにか隠していることがあるだろう?」
 そう声をかけられて、ハッとして鳴上を見た。そのまっすぐな瞳に捕らわれて身動きができない。
「クマが言ってた。陽介が夜、いつも夢でうなされてるって」
「クマ吉のやつ、言うなってあれほど…!」
「クマを責めるな。心配しているんだ」
 俺は何も答えられなかった。すべてのことを打ち明けることを想像したら、心臓がバクバクいい始めて、冷や汗が服の下を流れた。
「今、無理に聞き出すつもりはない。だけどお前の味方がここにいるってことだけは忘れないでくれ。もし陽介が困っているならいつだってお前の力になりたいんだ」
 ゆっくりと、けれどはっきりとした口調で言われて、俺は胸がいっぱいになった。
「……うん…」
 それだけ言って頷くと、鳴上も何も言わずに俺の背中をぽんぽんとたたいてなだめてくれた。




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