【主丸】丸喜荘の人々
2023/08/26(Sat)23:05
「丸喜荘の人々」
め○ん一刻パロ 主人公名:暁 透流
本文を続きリンクへ折りたたみました。ギャグのつもりで書いてたけど、できてみたらけっこう重たい話になっちゃった気がします。
外を掃除していると向こうから暁くんが歩いてきた。
「お帰りなさい。暁くん」
「ただいま。……これ」
暁くんが手に持っているものを差し出してきた。
「えっ、僕に……?」
「はい。バイト先で俺が作ったブーケです」
白とグリーンを基調としたブーケはまるで花嫁が持つそれのようだ。一瞬留美のウエディングドレス姿を思い出して、ずきんと胸が痛んだ。
思わず頭を振り払った。目の前にいる彼に失礼じゃないか。
彼はまっすぐに僕を見てきて、何だか眩しい。
「貴方をイメージして作りました」
「なんだか照れちゃうな。……でも嬉しいよ。ありがとう」
花に顔を寄せるとやさしい香りに包まれた。
「いつもアパートを綺麗に掃除してくれてありがとうございます。拓人さん」
ふわりと微笑まれ、しかも急に下の名前で呼ぶものだからびっくりした。いつもぶっきらぼうに挨拶はしてくれるものの、名前を覚えてくれていたなんて。
「僕の名前、よく覚えてたね」
「それは……大事な人の名前ですから」
少し照れくさそうに彼が視線を反らすものだから思わず胸が鳴ってしてしまう。
「俺の名前、透流です」
「え?」
唐突に名乗られて、知ってはいたけどその真意を汲みとれない。すると彼は反らしていた視線を戻し、じっと僕を見た。
「……名前で呼んでくれたら嬉しい」
「そっか。わかった。透流くん」
「はい。拓人さん」
名前で呼び合うと何だか胸がくすぐったくなってくる。彼も同じようで、笑顔を見せてくれた。彼の笑顔、いいなあ。なんだかこっちまで幸せな気持ちになってくる。
すると突然彼が持っているカバンを建物の角に投げつけた。
「そこっ!」
ふぎゃっと声がして、投げつけられた先、アパートの角で人や猫が飛び出してきた。
「みんな、どうしたの……?」
丸喜荘に住んでいるみんなが将棋倒しになっている。
「ははは、出歯亀ってヤツですー」
坂本くん、三島くん、喜多川くん、それにあの明智くんまで。そして黒猫のモルガナくんが将棋倒しの下敷きになっていて必死に抜け出そうとしている。
「しっつれいしましたー!」
「明智なに丸喜さんを睨んでいるんだよ。ほら、行くぞ! って、祐介も。何してるんだよ」
「これが『愛』というものか。いや、『恋』か……!」
「お前が『変』だよ」
暁くんの目が険しくなっているのを見て、みんなそそくさと退散していく。明智くんと喜多川くんは坂本くんに襟元を引っ張られて渋々退散していく。モルガナくんだけが倒れたままぐったりしている。
一部始終を見られていたのだとわかって何だか顔が熱くなってしまう。モルガナくんを抱き上げてから何だか彼と目を合わせ辛くなってしまった。
め○ん一刻パロ 主人公名:暁 透流
本文を続きリンクへ折りたたみました。ギャグのつもりで書いてたけど、できてみたらけっこう重たい話になっちゃった気がします。
外を掃除していると向こうから暁くんが歩いてきた。
「お帰りなさい。暁くん」
「ただいま。……これ」
暁くんが手に持っているものを差し出してきた。
「えっ、僕に……?」
「はい。バイト先で俺が作ったブーケです」
白とグリーンを基調としたブーケはまるで花嫁が持つそれのようだ。一瞬留美のウエディングドレス姿を思い出して、ずきんと胸が痛んだ。
思わず頭を振り払った。目の前にいる彼に失礼じゃないか。
彼はまっすぐに僕を見てきて、何だか眩しい。
「貴方をイメージして作りました」
「なんだか照れちゃうな。……でも嬉しいよ。ありがとう」
花に顔を寄せるとやさしい香りに包まれた。
「いつもアパートを綺麗に掃除してくれてありがとうございます。拓人さん」
ふわりと微笑まれ、しかも急に下の名前で呼ぶものだからびっくりした。いつもぶっきらぼうに挨拶はしてくれるものの、名前を覚えてくれていたなんて。
「僕の名前、よく覚えてたね」
「それは……大事な人の名前ですから」
少し照れくさそうに彼が視線を反らすものだから思わず胸が鳴ってしてしまう。
「俺の名前、透流です」
「え?」
唐突に名乗られて、知ってはいたけどその真意を汲みとれない。すると彼は反らしていた視線を戻し、じっと僕を見た。
「……名前で呼んでくれたら嬉しい」
「そっか。わかった。透流くん」
「はい。拓人さん」
名前で呼び合うと何だか胸がくすぐったくなってくる。彼も同じようで、笑顔を見せてくれた。彼の笑顔、いいなあ。なんだかこっちまで幸せな気持ちになってくる。
すると突然彼が持っているカバンを建物の角に投げつけた。
「そこっ!」
ふぎゃっと声がして、投げつけられた先、アパートの角で人や猫が飛び出してきた。
「みんな、どうしたの……?」
丸喜荘に住んでいるみんなが将棋倒しになっている。
「ははは、出歯亀ってヤツですー」
坂本くん、三島くん、喜多川くん、それにあの明智くんまで。そして黒猫のモルガナくんが将棋倒しの下敷きになっていて必死に抜け出そうとしている。
「しっつれいしましたー!」
「明智なに丸喜さんを睨んでいるんだよ。ほら、行くぞ! って、祐介も。何してるんだよ」
「これが『愛』というものか。いや、『恋』か……!」
「お前が『変』だよ」
暁くんの目が険しくなっているのを見て、みんなそそくさと退散していく。明智くんと喜多川くんは坂本くんに襟元を引っ張られて渋々退散していく。モルガナくんだけが倒れたままぐったりしている。
一部始終を見られていたのだとわかって何だか顔が熱くなってしまう。モルガナくんを抱き上げてから何だか彼と目を合わせ辛くなってしまった。
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No.319|主丸SS|Comment(0)|Trackback