主丸SS「焦げた卵焼き」
2020/07/06(Mon)19:36
ネタバレは特にありません。
嬉し恥ずかしお泊りデート
シャワーを浴びた後、キッチンに立った。
嬉し恥ずかしお泊りデート
シャワーを浴びた後、キッチンに立った。
トースターにパンを二枚入れ、その間に玉子を割ってフライパンで焼き始めた。いつもならそれで終わりだ。だけど、若い彼には物足りないだろう。そう思って冷蔵庫を覗くと、厚切りベーコンが残っていたので、それを取り出し、ひとくちサイズにカットした。
「…あ、野菜もあった方が良いか」
野菜室を覗こうと屈むと、腰が猛烈にだるい。
まだ彼に触れられているような感触が身体のあちらこちらに残っていて、たまらない気持ちになってしまう。
不意に物音がして、見ると寝室から彼がやってきた。
「おはよう。何か焦げた匂いがするけど…?」
声をかけられて、思わず顔が熱くなってしまう。
「あ、うん。今、卵をね…」
ハッとしてフライパンを覗くと、見事に卵が焦げている。慌てて火を止めた。
「わー! ご、ごめん。卵、焦がしちゃった…!」
「丸喜のことだから何か考えごとをしてたんだろう」
そう言われてぐうの音も出ない。
「俺のことでも考えてた?」
いい笑顔で問われて何とも答えられず、ただ呻き声しか出てこない。
頭がフワフワして、一緒に食べた焦げた卵焼きもなんだか味がわからなかった。
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