10年の時を超えて
2018/07/10(Tue)22:48
ワンドロに参加させていただきました。
お題「10周年」
本文は続きリンクからどうぞ。
P4発売からもう10年になるんだ…年をとるわけだ;;
ほんとにこの作品のおかげでいっぱい元気をもらってきました。
みんながワイワイしている姿を見続けたくて二次創作してるようなものです。
や、もちろん主花にもイチャイチャしてほしいんですけどね。
これからもPQ2やコラボなど楽しみにしています。
仕事から帰って、相棒の作ってくれたメシを食べてひと心地した時だった。おもむろに相棒が自室に入り、なかなか帰ってこないと思ったら、ものすごく懐かしい格好をして戻ってきた。
「うおっ、よくそれ取っておいたな」
「夏物のシャツを探していたら出てきたんだ。さすがに肩とかあちこちきついな」
それは俺たち八十稲羽高校の制服。あの頃と同じように高い襟のシャツ。制服はボタンを止めずに着ていた。身体に厚みが増したせいかシャツがパツパツで今にもボタンが弾けそうだ。
「思い出が詰まっているから引っ越しのたびに迷ったんだけど、何となく捨てられなくて」
「その気持ちはわかるぜ。ま、俺の方は実家に取っておいたらいつの間にか近所の子にあげちまって無くなったんだけどなー」
少し色あせた制服を懐かしそうな顔で見ていた。
「もう十年経つんだな・・・陽介がゴミ置き場でポリバケツにはまってから」
「そっからかよ! つーかそれは忘れたげて」
「忘れないよ。陽介と初めて話した時のことだから」
愛しいものを見るような眼差しを向けられてドキッとした。不意にあの頃の気持ちが甦ってきた。この制服を着て、いつも俺たちの先頭を走っていた相棒。その隣で肩を並べて歩いていきたい。あの頃の俺は必死だった。
あれから十年。こいつの弱いところも、ダメなところも知った。俺の弱いところも嫌いなところもぜんぶ拾い上げて愛してくれた。意見をぶつけ合ったり、すれ違ったり、それでも最後にはお互い気持ちを確かめ合って。一緒に力を合わせて色んなことを乗り越えてきた。
あの頃の延長線に今の俺たちがいるんだなとしみじみしてしまう。
思わずテーブルで頬杖をついた。
「今も似合ってるぜ。ダーリン」
そう冗談めかしてウインクすると、相棒は「嬉しいよ、ハニー」と微笑んだ。
「よし、今日は色々ふたりで着て楽しもう」
そう言って、なぜか相棒はまた自室に入って行った。
そして戻った相棒の手にあったのは黄色のフェザーマンスーツ、ハロウィンの狼コスプレ衣装、そして女装用のブレザーとスカートだった。とても良い笑顔でそれらを目の前に差し出された。
そこでようやく察しがついた。なぜ相棒が懐かしの制服を着てみせたのか。
「お前…ただ俺にコスプレさせたいだけだろ。なあ、なあ!?」
相棒を揺さぶったが、無言の笑顔しか返ってこないのであった。
コスプレさせられてどうしたかは、まあ、お察しの通りということで。
お題「10周年」
本文は続きリンクからどうぞ。
P4発売からもう10年になるんだ…年をとるわけだ;;
ほんとにこの作品のおかげでいっぱい元気をもらってきました。
みんながワイワイしている姿を見続けたくて二次創作してるようなものです。
や、もちろん主花にもイチャイチャしてほしいんですけどね。
これからもPQ2やコラボなど楽しみにしています。
仕事から帰って、相棒の作ってくれたメシを食べてひと心地した時だった。おもむろに相棒が自室に入り、なかなか帰ってこないと思ったら、ものすごく懐かしい格好をして戻ってきた。
「うおっ、よくそれ取っておいたな」
「夏物のシャツを探していたら出てきたんだ。さすがに肩とかあちこちきついな」
それは俺たち八十稲羽高校の制服。あの頃と同じように高い襟のシャツ。制服はボタンを止めずに着ていた。身体に厚みが増したせいかシャツがパツパツで今にもボタンが弾けそうだ。
「思い出が詰まっているから引っ越しのたびに迷ったんだけど、何となく捨てられなくて」
「その気持ちはわかるぜ。ま、俺の方は実家に取っておいたらいつの間にか近所の子にあげちまって無くなったんだけどなー」
少し色あせた制服を懐かしそうな顔で見ていた。
「もう十年経つんだな・・・陽介がゴミ置き場でポリバケツにはまってから」
「そっからかよ! つーかそれは忘れたげて」
「忘れないよ。陽介と初めて話した時のことだから」
愛しいものを見るような眼差しを向けられてドキッとした。不意にあの頃の気持ちが甦ってきた。この制服を着て、いつも俺たちの先頭を走っていた相棒。その隣で肩を並べて歩いていきたい。あの頃の俺は必死だった。
あれから十年。こいつの弱いところも、ダメなところも知った。俺の弱いところも嫌いなところもぜんぶ拾い上げて愛してくれた。意見をぶつけ合ったり、すれ違ったり、それでも最後にはお互い気持ちを確かめ合って。一緒に力を合わせて色んなことを乗り越えてきた。
あの頃の延長線に今の俺たちがいるんだなとしみじみしてしまう。
思わずテーブルで頬杖をついた。
「今も似合ってるぜ。ダーリン」
そう冗談めかしてウインクすると、相棒は「嬉しいよ、ハニー」と微笑んだ。
「よし、今日は色々ふたりで着て楽しもう」
そう言って、なぜか相棒はまた自室に入って行った。
そして戻った相棒の手にあったのは黄色のフェザーマンスーツ、ハロウィンの狼コスプレ衣装、そして女装用のブレザーとスカートだった。とても良い笑顔でそれらを目の前に差し出された。
そこでようやく察しがついた。なぜ相棒が懐かしの制服を着てみせたのか。
「お前…ただ俺にコスプレさせたいだけだろ。なあ、なあ!?」
相棒を揺さぶったが、無言の笑顔しか返ってこないのであった。
コスプレさせられてどうしたかは、まあ、お察しの通りということで。
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No.262|主花SS|Comment(0)|Trackback