SS「見えないものより怖いもの」
2016/09/04(Sun)09:41
ツイッターの主花版深夜お絵かきSS書き60分間一本勝負に参加させていただきました。
怪談と主花を結びつけるの難しかった…
無自覚主花、2月のスキーイベントの時の話
お題「怪談」
本分はつづき↓からどうぞ~
ペンションのラウンジで怪談をしていたら急に明かりが消えて、怪奇現象が起こったのかと一同大騒ぎしてしまった。
「クマのおかげで怪談、すっげー盛り上がっちまったなー」
二人部屋のドアを開けながら、陽介が苦笑いした。
後から部屋に入ると、陽介の横に立った。
「ああ。でも陽介、怪談にはノリノリだったけど、明かりが消えたのは結構びびってただろ?」
「おまっ………そこはそっとしとけよ!」
唇をとがらせながら、「怪談で盛り上がるのは好きだけど不意打ちは苦手なんだよ…」とぶつぶつ言っている。そしてふてくされるように自分のベッドにうつ伏せに寝転がった。髪が乱れて、首筋がのぞき見えている。
なんとなく悪戯心がよぎって、音をたてないようにそっと近づくと、ふうっと息を吹きかけた。
「うっひゃ!?」
びくんと背中を反らせる姿に目が離せない。
陽介が慌ててこちらを振り返った。顔がりんごみたいに真っ赤になって涙目になっている。
「も………なにすんの!?やめたげて!」
「………ごめ、ん」
なんとかそう謝ってはみたものの、頭の中ではぜんぜん別のことを考えている。
真っ赤な顔とか、涙目とかが目に焼き付いて頭から離れない。なぜだろう、とんでもない扉を開けてしまった気がする。
「おーい、相棒、どした?」
「いや………」
起きあがった陽介が顔を傾けてのぞき込んでくる。
陽介ってこんなに可愛かったっけ。いや、男で可愛いってどうなんだ。よくわからない。急に動悸が………。
「おい」
「うわっ」
ぽんと肩を叩かれて、目の前に迫った顔に思わず身体をのけぞらせる。
「あ、わかった。お前、そうやってまた俺をビビらせようとしてんだろ。もうやめようぜ………マジで寝れなくなるって」
「いや………」
「ソレ関係の話すると寄ってくるて言うだろ………。あーもういっそのこと、男ふたりで添い寝して寝ちゃう?」
頭を鈍器でガツンと殴られた気がした。
軽々しくそんなことを言わないでほしい。なんだか無性に腹立たしくなる。
なんとなく俺ばかりこんな気分になるのは気に食わない。
「たしかにエロいことをしていると寄ってこなくなるって言うしな。添い寝して、試しにやってみるか?」
ニヤリと笑ってみせる。俺だってやられてばかりではないのだ。
陽介は目を丸くして、急に怯えたような顔をして。
「ヘンなこと言ってすんませんでした!おやすみ!」
もぞもぞと布団をかぶって就寝につく仕草を見せたので俺も息を吐いて明かりを消した。
暗闇の中、手探りで自分の布団にもぐる。だけどドキドキと鼓動がうるさすぎて眠れそうにない。
ドキドキしている。
なにこれ。布団をかぶりながら、さっきの言葉が繰り返し頭の中で再生されている。
『たしかにエロいことをしていると寄ってこなくなるって言うしな。添い寝して、試しにやってみるか?』
そして首筋に吹きかけられたあの熱い息。
あの時、本当は相棒の気配を後ろに感じていた。相棒のことだからなにかサプライズを仕掛けてくるんじゃないかってうすうす気づいてた。
だけど息を吹きかけられて。
とたんに力が入んなくなった。俺に息を吹きかける瞬間の相棒を想像したら顔が熱くなった。
なにあれ?っていうかエロいことってなに?!
急に相棒という人間がわからなくなって怖くなった。幽霊なんているのかいないのかわかんないものよりも、一番傍にいる相棒の方がずっとずっと怖い。
怖いのに目が離せないなんて一体全体どういうことだろう。
考えたけど答えは出なくて、ただ夜だけが更けていった。
怪談と主花を結びつけるの難しかった…
無自覚主花、2月のスキーイベントの時の話
お題「怪談」
本分はつづき↓からどうぞ~
ペンションのラウンジで怪談をしていたら急に明かりが消えて、怪奇現象が起こったのかと一同大騒ぎしてしまった。
「クマのおかげで怪談、すっげー盛り上がっちまったなー」
二人部屋のドアを開けながら、陽介が苦笑いした。
後から部屋に入ると、陽介の横に立った。
「ああ。でも陽介、怪談にはノリノリだったけど、明かりが消えたのは結構びびってただろ?」
「おまっ………そこはそっとしとけよ!」
唇をとがらせながら、「怪談で盛り上がるのは好きだけど不意打ちは苦手なんだよ…」とぶつぶつ言っている。そしてふてくされるように自分のベッドにうつ伏せに寝転がった。髪が乱れて、首筋がのぞき見えている。
なんとなく悪戯心がよぎって、音をたてないようにそっと近づくと、ふうっと息を吹きかけた。
「うっひゃ!?」
びくんと背中を反らせる姿に目が離せない。
陽介が慌ててこちらを振り返った。顔がりんごみたいに真っ赤になって涙目になっている。
「も………なにすんの!?やめたげて!」
「………ごめ、ん」
なんとかそう謝ってはみたものの、頭の中ではぜんぜん別のことを考えている。
真っ赤な顔とか、涙目とかが目に焼き付いて頭から離れない。なぜだろう、とんでもない扉を開けてしまった気がする。
「おーい、相棒、どした?」
「いや………」
起きあがった陽介が顔を傾けてのぞき込んでくる。
陽介ってこんなに可愛かったっけ。いや、男で可愛いってどうなんだ。よくわからない。急に動悸が………。
「おい」
「うわっ」
ぽんと肩を叩かれて、目の前に迫った顔に思わず身体をのけぞらせる。
「あ、わかった。お前、そうやってまた俺をビビらせようとしてんだろ。もうやめようぜ………マジで寝れなくなるって」
「いや………」
「ソレ関係の話すると寄ってくるて言うだろ………。あーもういっそのこと、男ふたりで添い寝して寝ちゃう?」
頭を鈍器でガツンと殴られた気がした。
軽々しくそんなことを言わないでほしい。なんだか無性に腹立たしくなる。
なんとなく俺ばかりこんな気分になるのは気に食わない。
「たしかにエロいことをしていると寄ってこなくなるって言うしな。添い寝して、試しにやってみるか?」
ニヤリと笑ってみせる。俺だってやられてばかりではないのだ。
陽介は目を丸くして、急に怯えたような顔をして。
「ヘンなこと言ってすんませんでした!おやすみ!」
もぞもぞと布団をかぶって就寝につく仕草を見せたので俺も息を吐いて明かりを消した。
暗闇の中、手探りで自分の布団にもぐる。だけどドキドキと鼓動がうるさすぎて眠れそうにない。
ドキドキしている。
なにこれ。布団をかぶりながら、さっきの言葉が繰り返し頭の中で再生されている。
『たしかにエロいことをしていると寄ってこなくなるって言うしな。添い寝して、試しにやってみるか?』
そして首筋に吹きかけられたあの熱い息。
あの時、本当は相棒の気配を後ろに感じていた。相棒のことだからなにかサプライズを仕掛けてくるんじゃないかってうすうす気づいてた。
だけど息を吹きかけられて。
とたんに力が入んなくなった。俺に息を吹きかける瞬間の相棒を想像したら顔が熱くなった。
なにあれ?っていうかエロいことってなに?!
急に相棒という人間がわからなくなって怖くなった。幽霊なんているのかいないのかわかんないものよりも、一番傍にいる相棒の方がずっとずっと怖い。
怖いのに目が離せないなんて一体全体どういうことだろう。
考えたけど答えは出なくて、ただ夜だけが更けていった。
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No.198|主花SS|Comment(0)|Trackback