ワンドロ主丸SS「原罪の林檎」
2020/05/09(Sat)23:00
丸喜先生ぷち企画のワンドロ お題「林檎」
真ED後の妄想・捏造設定主丸SS。
同棲しています。
!ストーリー・EDネタバレ注意!
本文は続きリンクからどうぞ
先にご飯を食べ終えたモルガナはお腹いっぱいで眠たくなったのか、ソファで丸くなっている。
丸喜は最後のひと口を食べ終えると、スプーンを置いて手を合わせた。
「ごちそう様でした。すっごく美味しかった! やっぱり君の作るカレーは最高だなあ」
「食後のデザートにりんごもありますよ」
カウンターテーブルの脇に置いておいたりんごの皮を果物ナイフでくるくると剥く。それを楽しそうに丸喜が見つめている。
「実は僕、林檎がそんなに好きじゃなかったんだよね」
「えっ、嫌い?」
ナイフの動きを止めると、丸喜が「違う違う」と笑って否定した。
「今は好きなんだよ。ほら。僕、カウンセリングの時に林檎ジュースを飲んでたでしょ」
「うん。だから好きなのかと思ってた」
剥くように促されて、再び手を動かす。
「最初はクライエントが段ボールで林檎ジュース差し入れてくれてね。それを毎回カウンセリングの時に飲んでたら、他のクライエントにも好きだと勘違いされて、林檎を大量にもらったりして。それを戴いているうちに好きになっちゃったんだ」
「なるほど」
俺にとってのコーヒーみたいなものか。最初は苦く感じたけど、だんだんその苦みがクセになっていって、気がついたら好きになっていた。
りんごの皮を剥き終えたので、8等分にカットして種の部分も取り除いた。
カットボードごと真ん中に寄せて、そのうちのひとつを手で差し出した。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
嬉しそうに丸喜が顔を寄せ、そのまま口でかぶりついた。
最初は歯を使って砕いて、しゃくしゃくとした音を立てながら、美味しそうに目を細めて食べている。
嚥下して喉仏が動く様子からも目が離せない。丸喜が自分の調理したものを美味しそうに食べるのを見ていると幸せな気持ちでいっぱいになる。
「ん…蜜がいっぱい入っている。美味しいね」
顔を上げた丸喜と目が合って、なぜかドキリとした。
「君もそうだよ」
「俺?」
悪戯っぽい瞳で丸喜が笑っている。
「最初は研究のために近づいたはずなのにね。話しているうちに、一緒に過ごしているうちに好きになって、だんだんクセになっちゃった」
そういうことを恥ずかし気もなく言えるところが丸喜だと思う。顔が熱くなるのを止められない。
「…俺と林檎を同列にしないでください」
「ははっ、ごめんね?」
俺の反応がそんなに面白かったのか、笑いが止まらない様子だ。
テーブルに頬杖をついて、丸喜が俺を見た。その瞳がやわらかい光を纏っている。
「僕の当時、一番大事だったモノを奪って、僕のハートまで盗んだんだから。君に敵うものなんてないよ」
林檎は原罪の象徴とはよく言ったものだよね。そう言って丸喜は艶やかな笑みを浮かべた。
真ED後の妄想・捏造設定主丸SS。
同棲しています。
!ストーリー・EDネタバレ注意!
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先にご飯を食べ終えたモルガナはお腹いっぱいで眠たくなったのか、ソファで丸くなっている。
丸喜は最後のひと口を食べ終えると、スプーンを置いて手を合わせた。
「ごちそう様でした。すっごく美味しかった! やっぱり君の作るカレーは最高だなあ」
「食後のデザートにりんごもありますよ」
カウンターテーブルの脇に置いておいたりんごの皮を果物ナイフでくるくると剥く。それを楽しそうに丸喜が見つめている。
「実は僕、林檎がそんなに好きじゃなかったんだよね」
「えっ、嫌い?」
ナイフの動きを止めると、丸喜が「違う違う」と笑って否定した。
「今は好きなんだよ。ほら。僕、カウンセリングの時に林檎ジュースを飲んでたでしょ」
「うん。だから好きなのかと思ってた」
剥くように促されて、再び手を動かす。
「最初はクライエントが段ボールで林檎ジュース差し入れてくれてね。それを毎回カウンセリングの時に飲んでたら、他のクライエントにも好きだと勘違いされて、林檎を大量にもらったりして。それを戴いているうちに好きになっちゃったんだ」
「なるほど」
俺にとってのコーヒーみたいなものか。最初は苦く感じたけど、だんだんその苦みがクセになっていって、気がついたら好きになっていた。
りんごの皮を剥き終えたので、8等分にカットして種の部分も取り除いた。
カットボードごと真ん中に寄せて、そのうちのひとつを手で差し出した。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
嬉しそうに丸喜が顔を寄せ、そのまま口でかぶりついた。
最初は歯を使って砕いて、しゃくしゃくとした音を立てながら、美味しそうに目を細めて食べている。
嚥下して喉仏が動く様子からも目が離せない。丸喜が自分の調理したものを美味しそうに食べるのを見ていると幸せな気持ちでいっぱいになる。
「ん…蜜がいっぱい入っている。美味しいね」
顔を上げた丸喜と目が合って、なぜかドキリとした。
「君もそうだよ」
「俺?」
悪戯っぽい瞳で丸喜が笑っている。
「最初は研究のために近づいたはずなのにね。話しているうちに、一緒に過ごしているうちに好きになって、だんだんクセになっちゃった」
そういうことを恥ずかし気もなく言えるところが丸喜だと思う。顔が熱くなるのを止められない。
「…俺と林檎を同列にしないでください」
「ははっ、ごめんね?」
俺の反応がそんなに面白かったのか、笑いが止まらない様子だ。
テーブルに頬杖をついて、丸喜が俺を見た。その瞳がやわらかい光を纏っている。
「僕の当時、一番大事だったモノを奪って、僕のハートまで盗んだんだから。君に敵うものなんてないよ」
林檎は原罪の象徴とはよく言ったものだよね。そう言って丸喜は艶やかな笑みを浮かべた。
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No.291|主丸SS|Comment(1)|Trackback
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2020/05/17(Sun)14:34
No.1|by 歌月ゆに|
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