脱いでいい?
2020/06/19(Fri)23:31
保健室にはクーラーがついていない。
「いやあ、今日も暑いねえ…」
りんごジュースを片手に、丸喜が虚ろな目をしている。
丸喜が暑いのは当然だろう。シャツにネクタイ、おまけに白衣まで着ているのだ。スラックスの裾を巻き上げて、素足にサンダルを履いているところがかろうじて涼を感じさせてくれるポイントだ。
「そんな恰好してたら誰だって暑いですよ」
「だよねえ。けど、白衣を着てないと、僕、カウンセラーっぽく見えないからなあ…。あ、そうだ」
ソファに背中を預けていた丸喜は何かを閃いたのか、突然身体を起こした。そして顔を俺の耳元まで近づけて、悪い顔をして囁いてきた。
「ねえ、脱いでもいいかな? 君と話している時だけ」
少し掠れた低い声。首筋を汗が流れて、白いワイシャツの中に隠れる。イケナイものを見てしまった気がして視線を上げると、少し垂れがちな双眸がじっと俺を捉えている。まるで犬がお座りをして飼い主の命令を待っているようだ。
一瞬、変な風に捉えてしまい、頭が沸騰しかけていた。危ない。丸喜は人を勘違いさせる天才で、そのくせまったくその気がないのだ。頭を振って、気持ちを切り替えた。
「…良いんじゃないですか」
「ありがとう!」
「ヨシ」と言われた犬みたいにしっぽをパタパタと振っているように見えて、何だかちょっと微笑ましい。
なんてのんきに考えて見守っていたが、丸喜が立ち上がって、後ろを向いて白衣を脱ぎ始めたのを見てギョッとした。なぜかというと、スラックスの布地が縦に割けていて、お尻の割れ目とブルーのトランクスまでが露わになっているからだ。白衣を脱ぐために上半身を前傾させているから、よけいに少し垂れ気味のお尻のラインが強調されてしまっている。
思わず手で顔を覆った。
「…やっぱり脱がないでください。今すぐ着てください。っていうか今日は絶対に白衣を脱がないでください。他の人の前はもちろん、俺の前でも簡単に脱がないでください!」
ひと息でそう告げると、丸喜は焦ったように俺を振り返った。
「ええっ!? 僕、なんかした!?」
「いやあ、今日も暑いねえ…」
りんごジュースを片手に、丸喜が虚ろな目をしている。
丸喜が暑いのは当然だろう。シャツにネクタイ、おまけに白衣まで着ているのだ。スラックスの裾を巻き上げて、素足にサンダルを履いているところがかろうじて涼を感じさせてくれるポイントだ。
「そんな恰好してたら誰だって暑いですよ」
「だよねえ。けど、白衣を着てないと、僕、カウンセラーっぽく見えないからなあ…。あ、そうだ」
ソファに背中を預けていた丸喜は何かを閃いたのか、突然身体を起こした。そして顔を俺の耳元まで近づけて、悪い顔をして囁いてきた。
「ねえ、脱いでもいいかな? 君と話している時だけ」
少し掠れた低い声。首筋を汗が流れて、白いワイシャツの中に隠れる。イケナイものを見てしまった気がして視線を上げると、少し垂れがちな双眸がじっと俺を捉えている。まるで犬がお座りをして飼い主の命令を待っているようだ。
一瞬、変な風に捉えてしまい、頭が沸騰しかけていた。危ない。丸喜は人を勘違いさせる天才で、そのくせまったくその気がないのだ。頭を振って、気持ちを切り替えた。
「…良いんじゃないですか」
「ありがとう!」
「ヨシ」と言われた犬みたいにしっぽをパタパタと振っているように見えて、何だかちょっと微笑ましい。
なんてのんきに考えて見守っていたが、丸喜が立ち上がって、後ろを向いて白衣を脱ぎ始めたのを見てギョッとした。なぜかというと、スラックスの布地が縦に割けていて、お尻の割れ目とブルーのトランクスまでが露わになっているからだ。白衣を脱ぐために上半身を前傾させているから、よけいに少し垂れ気味のお尻のラインが強調されてしまっている。
思わず手で顔を覆った。
「…やっぱり脱がないでください。今すぐ着てください。っていうか今日は絶対に白衣を脱がないでください。他の人の前はもちろん、俺の前でも簡単に脱がないでください!」
ひと息でそう告げると、丸喜は焦ったように俺を振り返った。
「ええっ!? 僕、なんかした!?」
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No.295|主丸SS|Comment(0)|Trackback